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イングランド戦に敗れた姫野主将らがフランスまで駆けつけてくれた多くのファンに挨拶(写真・ロイター/アフロ)
イングランド戦に敗れた姫野主将らがフランスまで駆けつけてくれた多くのファンに挨拶(写真・ロイター/アフロ)

なぜラグビー日本代表はイングランドに不運な“ヘディングアシスト”トライを許し敗れたのか…サモア、アルゼンチンとの残り2試合で決勝T進出の可能性はあるのか?

 姫野は「僕たちの分析通りに試合は進みました。プランを持っていて、それを遂行できた時はいいラグビーができた。プランニングは間違っていなかった」。作戦そのものに問題はなかったと話す。
 もっとも作戦の遂行力には問題があったと言いたげだった。事実、焦るイングランド代表と同様のミスを重ねた。それが誤算だった。

 ひときわため息を誘ったのは、リズムよく攻めている中での落球だろう。
後半7分、ハーフライン付近右をウイングの松島幸太朗が突破も、折り返しのパスを姫野が落とした。続く17分には、やはり松島が自陣22メートルエリアから約40メートルを駆け抜けたところから、右、左、右、左と展開して敵陣に攻め込むも右プロップのヴァル アサエリ愛がノックオンを犯した。
 スクラムハーフの流大副将は、いずれの場面でもパスの投げ手となった。「鮮明には覚えていないですけど」としながら、こう振り返った。
「マツ(松島)のラインブレイクでプレッシャーをかけながら最後にミスで終わったシーン。ここで(ペナルティゴールによる)3点でも取れていれば、もう少しゲームをコントロールできた。その辺の判断は(次戦で)修正できるんじゃないかと」
 さらに主力組たちが「チームの士気に影響した」と振り返るのが、イングランド代表の左プロップ、ジョー・マーラーの頭に当たって転がったボールがアシストとなった珍しい後半16分のトライシーンである。
 自陣ゴール前まで攻め込まれ、右端から左方向へのパスが乱れたところで日本代表が、一瞬、足を止めた。ボールが前方に転がったため、前に落とすノックオンの反則があったとセルフジャッジをしてしまったのだ。
 対するイングランド代表は、プレーを続行した。ルーズボールを拾ったフランカーのコートニー・ローズゲーム主将が、無人のインゴールへ駆け込んだ。
 直後のビデオ判定によると、ノックオンがあったように映った場面でノックオンはなかった。ここでは、スタンドオフのジョージ・フォードのパスコースに2人の選手が走り込んでいた。まず、手前側にいた右プロップのウィル・スチュアートが、フォードのパスを手で後方へそらす。キャッチできなかったものの、前に落としていないからノックオンにはならない。
 スチュアートが弾いたボールは、奥側にいたマーラーの頭に当たった。取り損ねて前に転がしてしまってはいるが、手を使っていないためルール上ノックオンにはならない。ノックオンがないままプレーが続行しているのなら、転々としたボールを拾ったローズのトライも認められる。なかなかお目に掛かれないプレーは、直後のコンバージョン成功もありスコアボードを「12―20」とした。
 日本代表が足を止めたことで点差を広げられた格好だ。
 この要所でスイッチが切れるという無形のミスは、なぜ起きたか。
 ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは「運がなかった」と天を仰ぐほかない。事実、スチュアートやマーラーが捕球できなかった裏には、日本代表の防御ラインの押し上げがあった。日本代表がすべきことをした結果、決定的な失点を喫したようでもあった。このシーンを検証するとしたら、ゴール前まで攻め込まれた中盤の防御を見直す方が建設的かもしれない…。
 流は「少し、面食らった部分が少しあります」と振り返っていた。
「アンラッキーではありましたけど、あのトライのとられ方はマイナス材料になった。リーダーとしても悔やまれる」

 

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