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イングランド戦に敗れた姫野主将らがフランスまで駆けつけてくれた多くのファンに挨拶(写真・ロイター/アフロ)
イングランド戦に敗れた姫野主将らがフランスまで駆けつけてくれた多くのファンに挨拶(写真・ロイター/アフロ)

なぜラグビー日本代表はイングランドに不運な“ヘディングアシスト”トライを許し敗れたのか…サモア、アルゼンチンとの残り2試合で決勝T進出の可能性はあるのか?

 エース格の松島は、レフリーがノックオンだと言っていないのに立ち止まったことを悔やんだ。
「レフリーが(試合を)止めていないのに、自分たちのセルフジャッジで(動きを)止めてしまった。ここは、反省です」
 その後も日本代表は、じりじりと加点された。

 途中出場した相手スクラムハーフのベン・ヤングスは、味方がボールを確保すると攻め手をあえて緩めた。ゆったりと時間を使い、逃げ切りを目指した。反攻が必須だった日本代表はさらにパスミスを重ね、ノーサイド直前にダメ押しのトライを許した。4トライ以上奪取で得られるボーナスポイントを与えてしまい、逆に日本代表は、敗れても7点差以内であれば得ることのできたボーナスポイントを獲得することができなかった。
 2チームが決勝トーナメントに進めるプールDの順位は、イングランド代表が勝点9で暫定首位となり、日本代表は勝ち点5のままで暫定3位となった。
 日本代表は現地時間28日にスタジアム・ド・トゥールーズでサモア代表と対戦し、10月8日にはスタッド・ド・ラ・ボージョワールでアルゼンチン代表と予選プール最終戦を迎える。日本代表が上位2チーム以内に入るには、ひとつも星を落とせないと見た方がよい。
 サモア代表とは今年7月に対戦して22-24で惜敗した。アルゼンチン代表は、イングランド代表との初戦を落とし、いまだ勝点0も、22日のサモア代表戦、30日のチリ代表戦で勝ち点を積み上げてくることが予想される。
 残り2試合を連勝するには、イングランド代表戦の敗因となったミスの改善が必要だろう。繰り返すが、作戦そのものが誤っていたわけではない。競技の根っこを支える身体衝突でも、手応えはある。
 姫野は、「プレーの精度、判断を研ぎ澄ませていかないと」。作戦を首尾よく運用する個々の「プレーの精度、判断」を見直したいという。
 イングランド戦でペナルティゴールを4本決めてキック成功率100%をキープしているスタンドオフの松田力也は、ミスのなかでもハンドリングエラーが起こる原因、その解決策について、こう力説した。
「(走れそうな)コースが空いてしまうとそちらに目が行ってしまい、(パスをもらう際に)集中するところのポイントがずれてしまう。細かいことですが、『まずは、しっかりボールを捕る』を個人個人で(徹底したい)」
 試合後のロッカールームでは、全員でビールを口にしてあえて朗らかな空気を作った。日本ラグビー界の運命に関わる残り2試合を見据え、流はオンとオフの切り替えが重要だと話した。
「おそらく、これから2日間くらいオフがある。(6月中旬の合宿から)これまで本当にハードワークしていて、心も体も疲弊しているので、『ラグビーからいったん、離れよう』という話を皆にしました」
 技術的な問題点を見直す以前に、まずは活力を取り戻す。チームは20日まで現在の拠点であるモナコに残り、21日からは主要キャンプ地のトゥールーズでトレーニングを重ねる。
(文責・向風見也/ラグビーライター)

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