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那須川天心が転向2戦目でメキシコ国内王者から2度のダウンを奪い、パーフェクト判定で勝つも2試合連続でKO決着とはならず(写真・山口裕朗)
那須川天心が転向2戦目でメキシコ国内王者から2度のダウンを奪い、パーフェクト判定で勝つも2試合連続でKO決着とはならず(写真・山口裕朗)

「人生はうまくいかないもの」なぜ那須川天心は転向2戦目もKO決着できなかったのか…メキシコ国内王者相手に2度ダウンを奪いパーフェクト判定勝利…本田会長は熟成育成プランを明かす

 一部のアンチからは、2試合連続でKO決着できなかったことへネガティブな悲観論も飛び交うことになった。しかし、そんな評価は「正直、なんとも思わない」と一蹴した。
「そもそも格闘技でデビューしてから、ずっと言われている。強くなって最強になりたい…それだけ(を求めて)やっている。(ファンには)ついてきてくれればうれしいし、“こいつ?”となればそれでいい。格闘技には、こうすれば勝てる、こうすれば倒せる、というものはない。だからこそおもしろい。もっと自分を高めて強くなっていく。それだけ」
 気になるのは天心の今後のプランだ。
 天心は、「2戦目でメキシコ王者とマッチメイクされた。自分は強気のマッチメイクをやりたい」との希望を口にした。
 ロードマップを描く本田会長は「100%、絶対に世界王者になれると保証するよ。でも時間はかかる。10戦以内の世界挑戦は絶対にない。ここから6戦、勉強になる相手を選んでいく。来年に日本タイトル?そんなことにこだわらない。この選手を壊したら、僕の恥。世界的に見ても、クロフォードだって8戦目までは負け越している相手と戦った。ワシル・ロマチェンコ(元3階級制覇王者)や井上尚弥が数戦目で世界戦をやったが、これは異常なこと。彼らにはアマ経験も豊富にあった。大事に育てますよ」との熟成プランを明かした。
 ウェルター級の4団体統一王者でパウンド・フォー・パウンド1位となったテレンス・クロフォード(米国)の育成プランに重ねた。ここから最低6試合の経験を積ませ、世界挑戦が10戦目以降になるのであれば、早くてもベルトへの挑戦は3年先になるだろう。
「もし8回戦の世界戦があるなら、相手次第で今すぐ世界王者にはなれますよ。でも、天心が目指すのは、普通の世界王者じゃないからね」
 本田会長も天心も掲げている目標は、ただ世界のベルトを腰に巻くことだけではない。2階級4団体統一の偉業を狙っているWBC&WBO世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(大橋)のような時代を動かすスーパーチャンピオンである。
 実際、この日も、デビュー戦に続き、スマホのフラッシュが光り、試合中には、女性や子供の声援の声が多く聞かれ、これまでのボクシング会場の風景とは様相が違っていた。天心にはボクシング界を変える可能性がある。
 リング上で、天心は「これ世界へ放送されているんですよね?」と確認してから、たどたどしい英語で、こうメッセージを伝えた。
「I can(本当は次にbeが必要) World Champion(私は世界王者になる).I can Change the World(私は世界を変える).Please check me(どうか見ていて欲しい)」
 世界を変えるーー。壮大なる若人のビジョン。いいじゃないか。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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