三笘薫の欧州カップデビュー戦は「不完全燃焼」…英メディアは決定的チャンスで三笘にパスを出さなかったFWに苦言
UEFAヨーロッパリーグの開幕節が21日(日本時間22日)に行われ、日本代表MF三笘薫(26)が所属するブライトンはホームでAEKアテネ(ギリシャ)と対戦して2-3で敗れた。2度PKで追いついたブライトンだったが、三笘のボールロストからのカウンター攻撃を受けて後半39分に決勝点を献上。決定的なチャンスで三笘にパスを出さなかったFWジョアン・ペドロ(21)に対して地元紙が苦言を呈するなど、ヨーロッパカップ戦のデビュー戦はほろ苦い結果となった。
地元メディアの三笘の採点は及第点「6」
逆転ゴールへの期待が、一瞬にしてため息に変わった。
2度背負ったビハインドを、2発のPKで追いついて迎えた後半33分。ブライトンが完全にペースを握っていた時間帯で、センターバックのヤンポール・ファンヘッケ(23)がハーフウェイラインを越えたあたりからから鋭い縦パスを繰り出した。
ターゲットは2ゴールを決めていたペドロ。オフサイドぎりぎりのタイミングで抜け出し、独走でアテネゴールへ向かって迫っていく。ただ、ペドロが走っていったコースはゴールの右側。唯一といっていいシュートコースには、再三にわたって好守を演じてきたアテネの守護神、チツァン・スタンコビッチが立ちはだかっている。
それでも、ペドロは迷わず右足を振り抜く。強烈なシュートはスタンコビッチの右足に弾き返され、右コーナーキックへと変わった。このとき、ゴール中央には三笘がトップスピードで走り込み、ペドロからのパスをもらう体勢を整えていた。
試合終了からほどなくして、出場した全選手への採点を報じた地元紙『Sussex World』は、イングランド2部にあたるチャンピオンシップのワトフォードから、ブライトン史上で最高額となる移籍金3000万ポンド(約54億4000万円)で移籍したブラジル出身のホープにこの試合で最高点となる「8」をつけた上で、まずこう評価した。
「ヨーロッパカップ戦におけるブライトンの初ゴールを含めた2本のPKを、プレッシャーがかかる場面だったにもかかわらずともに冷静に決めた。巧みにプレーしようしすぎたあまりに、ボールを失った場面が2度ほどあったものの、その後も懸命にプレーし、新たなチームメイトたちとのコミュニケーションも非常によかった」
ただ、寸評の最後を苦言で締めることも忘れなかった。
「スルーパスに反応して相手ゴール前に抜け出した決定機では、中央に走り込んでいた三笘に合わせるべきだった」
昨シーズンのプレミアリーグで、ブライトンはクラブ史上で最高位となる6位に食い込んだ。その結果として手にしたUEFAヨーロッパリーグへの出場権。ブライトンだけでなく三笘も、ヨーロッパカップ戦へのデビューを待ち焦がれてきた。
しかし、小雨が降り続くホームのアメックス・スタジアムに駆けつけたブライトンのファン・サポーターは、残酷な結末を目の当たりにする。
2-2のまま迎えた後半39分。敵陣の右サイドから繰り出された一本のロングパスから、いとも簡単に勝ち越しゴールを許してしまったからだ。アテネにカウンターのチャンスを与えたのは、強引な突破を図るも阻止され、ボールを失った三笘だった。
ハーフウェイラインからわずかに敵陣に入ったエリア。こぼれ球を拾った三笘が前を向き、ドリブル突破を図る体勢に入った。しかし、対面に立ちはだかったMFイェンス・ヨンソンが阻止。ボールを奪ったアテネが前線へロングパスを送った瞬間、ブライトンのもう一人のセンターバック、ブラジル出身の新加入選手イゴール(25)は中途半端な位置にいた。