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リーチマイケルが2トライの活躍でサモアを撃破(写真:AP/アフロ)
リーチマイケルが2トライの活躍でサモアを撃破(写真:AP/アフロ)

ラグビーW杯で日本に敗れたサモア主将が「私達より組織的だった」と絶賛し英メディアは「失っていた野心と流暢さを取り戻した」と8強への前進を評価

 ラグビーW杯フランス大会の日本代表対サモア代表のプールDの試合が28日(日本時間29日)、トゥールーズのスタジアム・ド・トゥールーズで行われ、日本代表が28-22で勝利した。通算成績を2勝1敗の勝ち点9に伸ばして暫定2位に浮上して2大会連続の決勝トーナメント進出に前進した。17点差リードのあった日本は後半にサモアに6点差まで猛追されたが、粘り強い守備で逃げ切り、敗れたサモアの選手や英国のメディアが称賛の言葉を並べた。

 サモアの猛追から逃げ切る。次は勝負のアルゼンチン戦

 

 無我夢中で試合を切った。
 サモアボールのラインアウトでボールを奪取。形成されたラックからパスを受けた途中出場のSO李承信(22、神戸)が迷わずにボールを真横へ蹴り出す。次の瞬間、時計の針がすでに80分を回っていた死闘に終止符が打たれた。
 前半を17-8で折り返し、後半7分にはサモアのWTBベン・ラムに出されていたイエローカードが、バンカーシステムによるビデオ判定でレッドカードに変わった。直後の9分にキャプテンのNO8姫野和樹(29、トヨタ)がモールを押し込んでトライ。16分にはSO松田力也(29、埼玉)がPGを決めて、リードをこの試合で最大の17点に広げた。
 しかし、サモアの心は折れなかった。25分、38分とトライ。ともにコンバージョンキックも決めて、1トライ1ゴールで逆転できる6点差に縮められた。数的不利を感じさせず、逆にフィジカルの強さを前面に押し出してきた猛攻に劣勢を強いられ続けた。
 日本があと1トライを奪えば、4トライになってボーナスポイントを手にできた。しかし、そんな余裕などどこにもなかったのだろう。消耗し切った表情でフラッシュインタビューに応じた姫野は、その第一声をこう切り出している。
「ホッとしている、というのが一番のいまの心境です」
 ともに1勝1敗の勝ち点5で並び、得失点差でサモアが上回る状況で迎えた大一番。日本の勝利とともにイングランド代表のプールD突破が決定し、さらにイングランド戦を残すサモアがベスト8へ進む可能性がほぼ絶たれたと報じたサモアの大手紙『Samoa Observer』は、キャプテンのFLフリッツ・リーの試合後のコメントを伝えている。
「素晴らしい雰囲気を作ってくれた私たちのファンを、基本的な部分で失望させてしまった。日本は私たちよりも組織的だった。私たちはボールをもっと大事にしなければいけなかった。あれだけ獲得したペナルティーキックが、最後まで役に立たなかった」
 日本の組織力を語る上で、最も象徴的な場面が6点差に迫った直後の80分すぎに訪れた。日本が敵陣でたまらずオフフィートの反則を犯し、サモアがペナルティーキックを左タッチラインの外へ蹴り出した。スタジアムにサモアコールが、続いて日本コールが響くなかで、冒頭で記したサモアボールのラインアウトを日本が奪った瞬間に勝負が決した。
 自国開催だった前回大会で史上初のベスト8に進出した日本へ、強豪国のメディアは開幕前の時点で厳しい評価を与えていた。
 例えばラグビー発祥の地・英国の高級紙『The Guardian』は、生き残りをかけた日本とサモアの対戦をこう見ていた。
「今年7月のテストマッチではサモアが日本に勝利している。日本のリーチマイケルが退場処分を受けた試合だったとはいえ、2019年W杯の開催国がその後の4年間で停滞しているのに対し、太平洋諸島の選手たちは上昇傾向にある証拠に映った」

 

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