阪神の岡田監督が思わぬ悩みを抱える…横浜DeNAが“番長マジック”で競り勝ちCS出場決定も2位浮上のキャスティングボードは広島と戦う虎が握る
現役時代にエースナンバー「18」を背負ってきた三浦監督の継投は冴えわたった。6回からは伊勢につなぎ7回も回跨ぎさせた。一死から近本を内野安打で出塁させると、中野の打席でエスコバーに交代。中野をショートゴロ、代打の渡邉諒を三振に打ち取ると、エスコバーも8回に回跨ぎさせた。
一死から佐藤に三遊間を破るヒットを打たれ、ノイジーの2球目に意表をつく盗塁を仕掛けられたが、山本が強肩で阻止した。
そしてノイジーに四球を与えると、今度は上茶谷に継投した。上茶谷は坂本に内野安打を許すものの恐怖の8番打者の木浪をセカンドゴロに打ち取り、9回はウェンデルケンが締めてのゲームセット。8回に今季限りの引退の藤田が代打で登場して四球を選び、バッテリーエラーに、進塁打を絡めてノーヒットで1点を追加したことも効いていた。
「ワンポイント、ワンポイントで5回に投手を使ったので、早めにブルペンに連絡して“回跨ぎがあるよ”と言っておいた。ランナーを出しながらも良く粘った。全員がよくやってくれた」
すべてが三浦監督の計算通りだった。実家が近く、幼い頃から親交のあった岡田監督の優勝采配の向こうを張る“番長マジック”である。
3位を争った巨人に引導を渡した26日のゲームでも無失点できた東を9回にウェンデルケンに代える思い切った采配で、完封リレー勝利を演出していた。監督就任3年目にして三浦監督は、継投の極意のようなものをつかみつつある。開幕前に「僕自身も成長しなければ」と語っていたが、その采配は進化してきた。
今季1勝5敗と“天敵”だった青柳の制球難につけこんで攻略に成功。鮮やかな逆転勝利で2年連続のCS出場を決めた。横浜DeNAが残り4試合に全敗で、巨人が残り4試合に全勝すれば、世紀の大逆転が起きるところだったが、王手をかけて2試合目にして、優勝チームの虎を相手に競り勝った。それでも三浦監督は、「選手は誰一人満足していなかった」と気持ちを引き締めた。
「(CS出場が)決まったことは良かったが(優勝の)目標が消えてから、2つ目の目標に向かっている。勝っていかなきゃいけない」
2つ目の目標とは、CSを勝ち抜いての下剋上“日本一”である。ファイナルステージに進めば対戦することになる阪神に5連勝でフィニッシュし、苦手意識を植え付けておいたことも横浜DeNAにとっては大きなアドバンテージである。