なぜ久保建英はバスクダービーで5ゴール目を決めて地元メディアに“お色気ムーブ”と表現された“異例パフォ”を披露したのか?
しかも久保はスペイン代表の守護神ウナイ・シモン(26)と、瞬時に駆け引きを繰り広げる。目線をファーサイドへ送りながら、ダイレクトでヒットする瞬間にニアサイドを狙った。逆を突かれたシモンは一歩も動けず、その場に座り込んだ直後に天を仰いだ。
出場7試合目でゲットした5ゴール目が、リーグ戦で通算153試合目となる、ともにバスク地方に本拠地を置く永遠のライバル、ビルバオとの“バスクダービー”に事実上の決着をつけた。試合後のヒーローインタビューに呼ばれた久保は「この重要な試合に勝てて非常に幸せだ」と第一声を切り出し、自身のゴールをこう振り返った。
「相手のプレッシャーが非常に激しかったけど、チームとしてそれを戦術的にかわして戦うことができたのと、やはり全員のハードワークが勝利につながった大きな要因だと思う。スペシャルなことは別に何もしていない。チームメイトの全員がしっかりと自分たちの仕事をやった。自分のゴールもチームメイト全員の活躍があってこそ。全員に感謝している」
試合終了間際にはタッチライン際で激しく競り合った相手選手と、一触即発のムードを漂わせた。感情をむき出しにして詰め寄るなど、ここでもいつもの久保とは異なる一面をのぞかせた。インタビューでは熱くなった心境も問われた。
周囲をいさめるように、久保は笑いながら振り返っている。
「最後は熱くなってしまったけど、ダービーとはそういうものなので仕方がないでしょう。われわれが3-0で勝っていて、お互いが熱くなったなかで、ああいう状況になってしまった。なので、何か特別なものがあったわけではないですね」
ラ・リーガ1部の得点ランキングは、この日のジローナとの首位攻防戦でゴールを決めたMFジュード・ベリンガム(20、レアル・マドリード)が6ゴールで単独トップに立ち、1ゴール差でFWロベルト・レバンドフスキ(35、バルセロナ)とFWアルバロ・モラタ(30、アトレティコ・マドリード)、そして久保が続いている。
前出の『El Desmarque』は、久保が放つ存在感をこう報じた。
「ゴールパフォーマンスで忘れられない瞬間を残した久保が、レアル・ソシエダの試合後に脚光を浴びるのはもはや珍しい光景ではない」
この夜のレアレ・アレーナには歴代2位となる3万8229人の大観衆が詰めかけた。試合後には昨シーズンの“バスクダービー”に続くゴールを決めた背番号14を称える「クボコール」が、本拠地の夜空に何度も響きわたった。
試合後には文句なしで、今シーズンだけで5度目となるMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に選出された。首位レアル・マドリードをけん引するベリンガム、2位のバルセロナの大黒柱レバンドフスキらとともに9月のラ・リーガ月間MVPにもノミネートされている久保が、暫定4位に浮上したソシエダの中心で代役の効かない輝きを放っている。