クロフォードが猛烈批判…なぜ“カネロ”アルバレスはチャーロ弟との「4団体統一王者対決」を制して“限界説”を払拭できたのか
ここ3試合は、スランプといってもいい試合が続いた。
昨年5月にWBA世界ライトヘビー級スーパー王者のディミトリ―・ビボル(ロシア)に“飛び級”で挑戦したが判定で敗れ、9月には、村田諒太を倒したゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との3度目対決に判定勝利したが、KO決着とはならなかった。今年5月には“格下”のジョン・ライダー(英国)を相手に防衛に成功したが、この試合も判定で終わり“カネロ限界説”が囁かれるようになっていた。
真価を問われる対戦相手に選んだのは、双子の兄のWBC世界ミドル級王者のジャーモール・チャーロではなく、階級が二つ下の弟のジャーメル。戦前のオッズは、カネロが絶対有利だったが、限界説を払しょくし、失墜しかけていたプライドを取り戻すには、誰にも認められる内容と結果が必要だった。
「3か月間、家族から離れて山にこもり努力をしてきた。ボクシングは私の人生そのもの。ボクシングが私を作ってくれたんだ」
カネロはそう語った。
通算60勝目を飾ったカネロはリングに残っていたチャーロに「あなたは素晴らしいファイターだった。リスペクトするよ」という言葉をかけた。
一方の敗者となったスーパーウェルター級の4団体制覇王者は、“2階級の壁”があまりにも大きかったことを明かした上で、潔く完敗を認めた。
「本来の自分じゃなかった。結果は結果。これもボクシング。負ける日もある。彼のパンチは強かった。体重差の影響もあったが、私は最高の試合をしたと思う」
そして「次は適正階級に戻したい。誰でもいい。クロフォードでもいい。オレの階級で戦おう。準備はできている」と、この日、リングに上がったと同時にWBO王座は剥奪されたものの、まだWBC、WBA、IBFの3団体王座を保持しているスーパーウェルター級で
リングサイドにいた史上初の2階級4団体統一を成し遂げた現ウェルター級の4団体統一王者のテレンス・クロフォード(米国)との対戦を熱望した。
だが、そのクロフォードは自身の公式SNSでチャーロの敗戦を猛烈に批判した。
「君は悲しそうに出て行った。勝とうともせず、ただ生き残ろうとしただけだ。恥を知るべきだ」
「わかったよ。僕はもう(チャーロを)超えた。彼は何の抵抗もせず、まるで自分のパパにされるようにカネロに尻を叩かれた。おめでとう、カネロ。あなたはライオンと呼ばれる男を、子供のライオンのようにしたんだ」
クロフォードの感想が、この試合を端的に表現している。
クロフォードは、7月にエロール・スペンス・ジュニア(米国)を9回TKOで葬ったが、スペンスが再戦条項の行使を宣言しているため、年内に再戦が行われる方向。パウンド・フォー・パウンド1位に輝いているクロフォードが階級を上げてチャーロと対戦するのはいずれにしろ来年以降になりそうだ。