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来季からNPBのイースタンリーグに新規参入する新潟アルビレックスの本拠地「HARD OFF ECOスタジアム新潟」(右下)は約3万人を収容可能(写真・アフロ)
来季からNPBのイースタンリーグに新規参入する新潟アルビレックスの本拠地「HARD OFF ECOスタジアム新潟」(右下)は約3万人を収容可能(写真・アフロ)

「戦力外の選手に再起の機会を作りたい」…NPB2軍に新規参入内定の新潟アルビレックスが抱く“戦力外の男たち”の獲得構想

 来季からNPBの2軍に新潟を本拠地とするBCリーグの新潟アルビレックス・ベースボールクラブと静岡を拠点とするハヤテ223の2球団が新規参入することが内定した。11月22日のオーナー会議で正式決定するが、新潟アルビレックスには早くも外国人選手の売り込みやアマチュアからの入団の問い合わせが殺到。初代監督として続投の内定している巨人、ヤクルト、楽天などでコーチ経験のある橋上秀樹氏(57)は「NPBを戦力外となった可能性のある選手に再起の機会を作りたい」との意向をと明らかにした。2日から第1次の戦力外通告がスタートしたが、NPBがファームの拡大を決断した効果で、今オフは“戦力外の男たち”の再チャレンジ機会が広がりそうだ。

 外国人選手の売り込みが殺到

 

 来季からのイースタンリーグへの新規参入が内定した新潟アルビレックスに異常事態が起きている。エージェントからの外国人選手の売り込みや、プロ志望のアマチュア選手からの入団の問い合わせが殺到しているという。
 新規参入チームの初代監督として続投の内定している橋上氏がこう語る。
「プロ経験のない選手は、ルール上ドラフトを経由しなければ、1軍ではプレーできないそうですが、外国人選手や元プロ選手はシーズン途中でもプロ契約が可能です。スカウトからすれば、2軍のレベルで、どれだけできるかを把握することができるので、ウチでプレーすることは、12球団との契約チャンスが広がりますね。外国人選手はいくらメジャーでの実績があっても日本野球への対応ができずに、お払い箱になる選手が少なくありません。プロ側も慎重に見ますので、まずはウチで結果を出して、12球団との契約につなげようという狙いでの売り込みだと思います」
 今季も日ハムが5月にBCリーグの茨城アストロプラネッツに所属していたアレン・ハンソン内野手を獲得したが、2軍でプレーすることができれば、そういうケースが、さらに増えるのではないかという見込みから、早くもエージェントが必死に売り込みをかけてきているのだ。
 NPBは新規参入球団の選手構成の要件を①ドラフト会議で指名されていない選手②プロ野球の12球団にこれまで所属していた選手③外国人選手の3つに定めた。
 プロ野球の支配下選手の登録上限数は70人で、1軍登録が最大29人、そのうちベンチ入りが最大25人で、残り41人プラス育成選手でファーム及び3軍を運営している。1軍を持たずにファームだけの新規参入となった球団の選手保有枠などに関する細かいルールはまだ決まっていないが、新潟アルビレックスでは、50人をメドに選手を保有する方向で準備を進めている。
 現在は、練習生を含めて36人が所属しており、特にトライアウトは実施せずに、そのメンバーを土台に、最低14人を新規に獲得する予定。
 今季はBCリーグの北地区で2位。チャンピオンシップでは信濃に敗れ優勝は逃した。プロの2軍に対抗するには戦力補強が必要で、独立リーグとの紳士協定で“引き抜き”を行わないことになっているため、補強の軸は、外国人選手、新規入団選手、そしてプロ野球の戦力外選手の3つ。これまで新潟アルビレックスには外国人選手がいなかったが、今回は外国人選手も補強する構想を固めている。
 そして、もう一つの補強の軸となるのが、“戦力外の男たち”だ。2日から第1次の戦力外通告がスタート。ヤクルトは、久保拓真投手(27)、杉山晃基投手(26)、成田翔投手(25)、市川悠太投手(22)ら7人に戦力外を通告している。
「今オフに戦力外になった選手を取りますよ。誰が戦力外になるかの情報を注意深くチェックしています。チーム事情で戦力外になったが、まだ可能性のある選手に再チャレンジの機会を作りたい。僕も野村克也さんの“再生工場”を近くで見てきましたからね。外国人選手と同じでドラフトを経由せずに12球団へのシーズン途中の移籍が可能です。独立リーグでプレーしながら、NPB復帰の機会を待つ選手も少なくないですが、ウチなら復帰の可能性はより高くなりますからね」
 現在、チームには元オリックスの吉田一将(34)が所属しているが、今オフには、戦力外となった選手を複数獲得する構想でいる。
 橋上監督は、ヤクルトの現役時代、楽天のコーチ時代を通じて、故・野村克也氏が、辻発彦、小早川毅彦、山崎武司、鉄平など、他球団から移籍してきた選手を再生させた姿を近くで見てきた。“戦力外の男たち”の復活の可能性を深く知るだけにプロの2軍に対抗するための戦力アップに加え、彼らの夢をサポートしたいと考えているのだ。

 

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