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新人王を獲得した阪神の高山俊も戦力外となった(資料写真・黒田史夫)
新人王を獲得した阪神の高山俊も戦力外となった(資料写真・黒田史夫)

阪神の岡田監督が“戦力外”の高山俊、北條史也らに惜別と励ましの言葉…指揮官が彼らの再起に期待していた知られざる裏話とは?

 北條は、大山、中野、木浪、小幡、佐藤という充実した内野陣が、ケガもなく1年間フルに活躍したため、つけいる隙がなかった。
 守備力の問題もつきまとい、右の代打として活路を見出すしかなかったが、同じ右打ちの渡邉諒を日ハムからトレードで獲得していたため、立ち位置が重なり、2軍で打率.234、2本塁打、19打点の数字しか残せなかった北條は、チャンスをつかむことができなかった。
 掛布雅之氏が、2軍監督時代に北條が、出場機会を争うライバルがヒットを打って拍手をしている姿を見て「ライバルが活躍すれば、君のチャンスがなくなるんだぞ。もっと、相手を蹴落として這い上がるくらいのギラギラしたものを出してはどうか」とアドバイスを送ったことがある。
 真っ先にチームのためを考える人の好さが、生き残りをかけたサバイバルの中ではマイナスに働いたのかもしれない。2017年に鳥谷と実力でポジションを争うことなく、当時の金本知憲監督から、ショートの定位置を与えられたことも結果的に、彼の野球人生を狂わせることになった。
 プロ野球は結果がすべての実力の世界ではある。
 だが、北條にしろ、高山にしろ、球団や、そのときそのときの監督の方針によって右往左往させられた“犠牲者”だったのかもしれない。
 チームは岡田監督が世代交代を進めながら若いメンバーで18年ぶりの優勝を成し遂げた。そのかけがえのない経験を土台に、2連覇、3連覇を狙うチームは、もう後戻りをするわけにはいかない。残酷なようだが、16セーブ、防御率3.20の成績で、ソフトバンクの尾形崇斗と並び、ウエスタンリーグのセーブ王に輝いた小林が残れないほど、8選手がチームの来季戦力から押し出されたのは、阪神が強くなっている証拠なのだ。
(文責・RONSPO編集部)

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