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18年ぶり“アレ”達成の岡田阪神は今オフのFA補強を封印(資料写真・黒田史夫)
18年ぶり“アレ”達成の岡田阪神は今オフのFA補強を封印(資料写真・黒田史夫)

FA候補に西武山川、オリ山崎福、楽天松井らがズラリと揃うが岡田阪神は今オフのFA補強“封印”…巨人とは正反対の路線を貫く

 阪神が今オフもFA補強を行わない方針を固めたことが5日、明らかになった。阪神は2018年にオリックスから西勇輝(32)を獲得して以来、FA戦線からは撤退している。連覇を狙う来季への補強はトレード、新外国人、ドラフト、現役ドラフトの4本柱が主体となる。

 「生え抜きを育てて勝つ」という信念

 

 水面下でFA選手の動向を調査する各球団の動きが活発化してきた。
 もしFA宣言をすれば目玉となるのは西武の山川穂高(31)だろう。不起訴とはなったものの、現在、公式戦の無期限出場停止処分を受けているだけに、その去就は議論を呼ぶだろうが、野手では一番の大物。
 投手では優勝したオリックスのローテ―ションを支え10勝5敗の成績を残した山崎福也(31)、日ハムで防御率2.87、7勝9敗だった加藤貴之(31)、楽天で防御率1.63、39Sの守護神の松井裕樹(27)、今季4勝9敗と負けが先行したものの先発としてフル稼働した横浜DeNAの左腕の石田健大(30)らが注目の候補となる。
 また米国のマイナーでシーズンを終えた筒香嘉智(31)の日本球界復帰の可能性も取り沙汰されている。
 だが、阪神は、それらのFA選手に見向きもしない。資金力のある阪神は、2016年に糸井嘉男、2018年に西勇と共にオリックスからFA補強してきた過去があるが、ここ4年間は、FA補強を控えてきた。実は、岡田監督が監督就任した昨秋は、メジャーでプレーしていた有原航平の調査に乗り出していたが、ソフトバンクの攻勢を見て獲得を見送った。球団サイドの戦力補強構想の背景には、岡田監督の「生え抜きを育ててチームを強くする」という信念がある。
 それは、ある意味、巨人の野球に対するアンチテーゼでもある。
 実は、前監督時代に2008年限りでユニホームを脱いだ岡田監督は、2009年の春に評論家として巨人の宮崎キャンプを訪れた際に、当時の巨人の球団代表だった清武英利氏に「話を聞きたい」と呼ばれて2人きりで話をしたことがある。清武氏は、2005年に優勝し、2008年も、13ゲーム差をひっくり返したものの、夏場まで独走を許した岡田監督の育成、強化手法に興味を示し、ライバルから見た巨人の問題点を聞きたかったという。
 岡田監督は、「毎年のようにFAで選手を取って上が蓋をされると、若い選手が出てくる場所がなくなってしまう」との持論を展開した。
「一人が入ることによって、競争ではなく、殺される選手が出てくるような補強はするべきではない」
 それも岡田監督の持論である。
 清武氏は、「育ってこないから勝つためにFAで選手を取るんだ」と主張して、議論になったそうだが、岡田監督には、そういう“巨人の野球”を受け入れることはできなかった。
 4日に2年連続Bクラスに転落した巨人の原監督が責任を取って辞任を発表した。17年間の監督生活で3連覇を含む9度のリーグ優勝と、3度の日本一に輝いているが、タイトルホルダーをごっそりFAで集めて優勝した時代もあり、その補強の仕方が“金権野球”と揶揄されたこともある。同一リーグからのFA補強は、ライバルチームの主軸を横取りすることで、そのチームの戦力を低下させるという効果もあるのだが、長期的に見れば、チーム強化に対しての“功罪”は残る。
 阪神も星野仙一氏の監督時代に金本知憲氏を広島からFAで獲得して2003年に優勝、岡田監督の前監督時代にも新井貴浩を広島からFAで獲得した。優勝に縁のなかったチームを変革するための“劇薬”でチーム強化への過渡期だった。
 だが、18年ぶりにアレを達成した阪神は、そういう段階にはない。

 

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