「圧倒的な勝ち方をしないとファンからも井上(尚弥)チャンピオンと“やれ”という声は出ない」亀田和毅がIBF世界フェザー級2位決定戦に挑む悲壮な覚悟を明かす
プロボクシングのIBF世界フェザー級2位決定戦(7日・大田区総合体育館)に臨む元2階級制覇王者で同級5位の亀田和毅(32、TMK)と同級8位のレラト・ドラミニ(29、南アフリカ)が6日、東京ドームホテルで前日計量を行い、両者共に一発でパスした。フェザー級で3階級制覇に成功し、階級を上げてくるWBC&WBO世界スーパーバンタム級王者、井上尚弥(30、大橋)との対戦を最終目標に置く和毅は、「圧倒的な勝ち方を続けないとファンからも井上(尚弥)チャンピオンと“やれ”という声は出ない」という悲壮な決意を語った。重岡兄弟のミニマム級のW世界統一戦を差し置いてメインに抜擢された和毅は、減量苦から解放されたフェザー級でファンの支持を受けるファイトができるのだろうか。
フェザー級に上げて作り上げたバキバキの肉体
亀田和毅が先にデジタル計量器に乗った。
フェザー級のリミットの57.1キロより100グラムアンダーの57.0キロでクリア。バキバキに仕上がった肉体を誇示するような2つのポージング。
「無事計量が終わった。リカバリーをしっかりして、ベストコンディションでリングに上がりたい。約4、5か月弱をかけてフェザーで通用する体を作った。ドラミニはナチュラルなフェザー級の選手。それを圧倒して勝ちたい」
スーパーバンタム級時代は、約12、13キロの減量を余儀なくされた。フェザー級転向を決めた5月から専属のフィジカルトレーナーと契約して肉体を強化したため、さらに土台が大きくなり、今回も10キロ減量したが、スーパーバンタム級との1.8キロの違いが、大きく影響した。その実感がある。
「昔からパワーはあった。でもバンタム、スーパーバンタム級時代は減量しすぎてパワーを発揮できないところがあった。他の選手もそう。減量しなければ誰でも強い。フェザー級になったら、たぶんスパー通りの動きができるんじゃないか。自分でも明日が楽しみ」
対するドラミニは200グラムアンダーの56.9キロでクリア。対照的にその肉体に張りはなく覇気も見られなかったが、内に秘めた静かな闘志があるのだろう。
「ここ来たのはホリデーじゃない。和毅の印象?特にない。プレッシャーなんかもない。フェザーに上げて、最初にオレを選んだことは間違いだ。明日はベストを尽くしてタフに戦う。どんな戦い方?ここで言う必要はない」
不気味にそう言い放った。
今回は聞き慣れない2位決定戦。しかも5位と8位のボクサーの戦いである。1位は4月に元2階級制覇王者のキコ・マルチネス(スペイン)との挑戦者決定戦に判定で完勝した阿部麗也(KG大和)で、同級王者のルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)との指名試合を待っている状況。それでも、この試合に勝てば2位となり、他団体でも上位にランクインすることは間違いなく、和毅は「これが世界前哨戦」と位置づけている。
「階級を上げて、どこまで通用するか。相手も世界ランカー。パワー、スピードが通用すれば、来年の世界戦へのGOサインが出せるんじゃないかと思う」
ただ王者のロペスは、統一戦を求めており、ターゲットを7月に元ロンドン五輪銅メダリストの清水聡(大橋)を5回TKOで葬ったWBO世界同級王者のロベイシ・ラミレス(キューバ)に絞っている。そのラミレスは12月に防衛戦を予定しているため統一戦の行方も不透明。プロモーターとして再タッグを組んだ兄の興毅は、「阿部選手との指名試合がどうなるのか。もし統一戦が優先されるなら、阿部選手と和毅がやっても面白いし、他団体も含めて、あらゆる世界挑戦のパターンを想定している」と言う。