「圧倒的な勝ち方をしないとファンからも井上(尚弥)チャンピオンと“やれ”という声は出ない」亀田和毅がIBF世界フェザー級2位決定戦に挑む悲壮な覚悟を明かす
和毅は、「いろんなプランで動くことになるが、そこは任せている。明日の試合に勝たなければ何も前へと進まない」とこの試合に集中している。
最終目標はハッキリしている。
“モンスター”井上尚弥だ。
和毅は「最大のモチベーションは井上尚弥チャンピオンと戦って勝つこと」と断言している。
当初は、スーパーバンタム級での対戦を目論んでいた。和毅もスーパーバンタム級のベルトを巻き、統一戦で拳を交えようというプランだった。WBAの挑戦者決定戦に勝ち、指名挑戦権を得ていたが、ターゲットにしていたWBA世界スーパー&IBF世界同級王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)が、大方の予想を覆してマーロン・タパレス(フィリピン)に敗れ、その新王者のタパレスは、12月に井上と4団体統一戦を行うことを選択した。そして、そのタイミングで、なぜかWBAからは、和毅にアフマダリエフとの挑戦者決定戦を再度、命じられた。ここで和毅は、スーパーバンタム級でのモンスター追跡をあきらめ、フェザー級への転級を決断した。
遠回りにはなるが、アフマダリエフに勝てば、4団体統一王者への挑戦権は得る。突然の方向転換に一部のアンチからは「亀田が逃げた」と揶揄された。
だが、減量苦に加え、たとえアフマダリエフに勝っても、井上サイドの優先対戦相手は、WBCの指名挑戦者の“悪童”ルイス・ネリ(メキシコ)や、元3階級制覇王者の“問題児”ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)であり、和毅に順番が回ってこない可能性が高く、和毅にも「何年も待ったら、もう引退の年齢になってしまう」との焦りがあり、フェザー級で世界王者となり早ければ再来年にも階級を上げてくる予定の井上を、そこで待ち受けるという方向に路線変更した。
しかし現時点では井上陣営の視界に和毅は入っていない。ファンの間からも「井上―和毅戦」を熱望する声はない。今回の試合では、無期限停止だったトレーナーライセンスを15年ぶりに再発行された父の史郎氏がセコンドにつくが、先日、AbemaTVの取材に答えて、こんなリアルな意見を口にしていた。
「今は(井上と対戦して勝てると言っても)みんなに『寝言でも言っとけ』と言われてしまう。フェザーで2、3戦して『フェザーで和毅とやれ』とみんなが言い出した時に実現しなければいけなくなる。ファン、周囲にそう言わせるだけのフェザー級王者になることが大事。ただ試合をするだけではなく勝ち続けないといけない。井上尚弥がリングで示し続けているような『格の違い』を見せつける戦いが必要。接戦ではダメ」