「圧倒的な勝ち方をしないとファンからも井上(尚弥)チャンピオンと“やれ”という声は出ない」亀田和毅がIBF世界フェザー級2位決定戦に挑む悲壮な覚悟を明かす
和毅は、「親父の言う通りやと思う」と、その意見に同意した。
「井上チャンピオンは、ああいう勝ち方(鮮烈なKO勝利)を毎回、毎回している。こっちも、それなりの試合で勝つだけでなく、圧倒的な勝ち方をしないと、ファンも(井上と)やれとはならない。それは重々わかっている」
そして、こう続けた。
「1試合、1試合、いい内容で勝っていかないと、そういう声は出ない。だから、まずは明日の試合が大事になる」
悲壮な覚悟だ。
和毅自身が冷静に自己分析したように、現状のボクシング世論は「今の亀田ではとても井上に勝てない」と見ている。だが、和毅がフェザー級で強豪を相手に「2人の試合が見てみたい」と思うような衝撃的な勝ち方を続けて、世界ベルトを手にして強さを印象づけていけば、2人の立ち位置や世論の風向きが変わっていく可能性はある。
井上戦を実現するためにも重要な意味を持つのがドラミニとのIBFの2位決定戦なのだ。
ドラミニの戦績は21戦19勝(11KO)2敗で過去にIBFフェザー級ユース王座、WBCインターナショナルフェザー級王座。WBCフェザー級シルバー王座などの地域タイトルを獲得している。俊敏なスピードタイプで、ジャブは速く、ステップを駆使してくるが、パワーはなく和毅がプレッシャーをかけられることはないだろう。恐怖感を抱くことなく対峙できるマッチメイクだと言える。やたらフェイントをかけてくるが、カウンターは狙ってこないので、和毅が前に出れば、防御を固めて下がる。ただインサイドでのアッパーはうまく、右のストレート、フックに一発のキレは秘めているので油断は禁物。和毅が、そのドラミニのスピードをどう封じて、パワーが増して磨きがかかった右で、どう仕留めるのか。和毅の今後のボクシング人生を決めると言っても過言ではないメインカードとなる。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)