なぜラグビーW杯で日本はアルゼンチンに27-39で敗れて8強進出を逃したのか…4年後に向けての課題と収穫
ラグビーW杯フランス大会プールDの最終戦が8日、スタッド・ド・ラ・ボージョワールで行われた。日本代表は27-39で敗れ、2大会連続の決勝トーナメント進出を逃した。8年前のイングランド大会で南アフリカ代表を破って大番狂わせと言われ、4年前の日本大会で初のベスト8進出を成し遂げた日本代表は、なぜフランスの地で敗れたのか?
「日本ラグビーはまだまだ強くなれる」
最高気温は25度。晩秋のこの地にあってはやや蒸し暑いスタジアムで、うなだれる選手、目を手で覆う選手、つとめて笑顔で仲間と握手をかわす選手が、大きな円を作る。
真ん中で話したのは姫野和樹。日本代表の主将だ。
「結果が出なくて残念だけど、皆のことを誇りに思う。自分たちが歩んできたプロセスは無駄じゃない。日本ラグビーはまだまだ強くなれる。文化、レガシー、エベレストを登る、W杯で優勝するという夢や目標は、これからも受け継がれていく。日本ラグビーはもっと強くなれるんだ」
初優勝を目指し「エベレスト」に見立てた大会のプールD最終戦。共に2勝1敗で勝った方が決勝トーナメント進出を決めるという大勝負を落とした。
姫野が訓示するさなか、終始怒鳴るように応援していたアルゼンチン代表のファンのひとりが後ろを向く。プレス席で呆然とする日本の記者へ、「ジャポン!」と声をかけて親指を立てていた。
愛好家たちが大声で歌って帰路につくなか、会見場に移動した姫野は続ける。
「自分たちには勝てるプランが100パーセントありました。ただ、それを毎回100パーセントできるわけではない」
4年に1度、世界一を決めるW杯。チャレンジャーの日本代表にとって、ミスが出ては勝てない舞台だと改めて思い知らされた。
日本代表は序盤から、アルゼンチンのタックルに気圧されチャンスを逃した。守っては、ハイパント攻勢、グラウンド中盤でのモールといった向こうの得意技にも苦しめられた。
特にモールでは、起点のラインアウトでの競り合い、地上での突き刺さりで、もっと相手の繋がりを断ちたかったろう。左プロップの稲垣啓太はこう解説する。
「自分たちの意図したこと(防御方法)がはまる部分もあれば、はまらなかった部分もある。向こうが一枚上手だった」
流れの上で痛かったのは、得点した直後に失点したことだ。
2点差に詰め寄った後半18分。相手ボールのキックオフがフィールドの真ん中に飛んできた。太陽がまぶしかったのか、姫野が落球。直後のスクラムから展開され、フィニッシュされ、9点差に開いた。
続く28分にも、キックオフの弾道は中央やや右寄りの位置に飛んだ。スクラムハーフの齋藤直人は「(立て続けに)真ん中(付近)に蹴ってくるとは思わなかった」と舌を巻いた。ここはフランカーのリーチ マイケルがキャッチに成功も、次の一手となるキックが敵の手に渡った。
自陣で守勢を強いられ、予選リーグのなかでは最高級の出来と言えたアルゼンチン代表の突進、パスワークに押し込まれた。