なぜラグビーW杯で日本はアルゼンチンに27-39で敗れて8強進出を逃したのか…4年後に向けての課題と収穫
左サイドの空洞を突かれて自陣10メートル線付近から同22メートル線付近に下げられ、最後は右中間の隙間をウイングのマテオ・カレーラスに突っ切られ、さらに27ー36とスコアは開いた。
スタンドオフの松田力也は漏らした。
「トライの獲られ方に簡単なところがあった。そこで相手の勢いを渡してしまったところがあります。システム的には問題ない。(問題は)小さなミス」
アルゼンチン代表は主軸でフランカーのパブロ・マテーラを前半24分に怪我で欠いたが、それを日本代表が活かし切ることは難しかった。マテーラが去る1分前には、日本代表のフランカーであるピーター・ラブスカフニがイエローカードで一時退場。その10分間で1トライを与えていた。
ただ、耐えて、約30000人のファンを魅了して、接戦を演じたのも確かだ。
致命的な失点シーンのほか、ほとんどの時間帯で強烈なタックルを打ち込んでいた。ラブスカフニが不在の時間帯も、実は堅陣を張るシーンが目立った。個人技による7失点だけで切り抜けられたとも取れる。
リーチの刺さる姿は鬼気迫るものがあった。フッカーの堀江翔太も接点で脅威を示した。
日本代表の圧力を前に、アルゼンチン代表が落球、ダイレクトタッチ(キックをバウンドさせずに外へ出すミス)を犯すこともあった。
スクラムも、特に堀江や稲垣が出ていた前半の時間帯は安定。ファーストスクラムでは思い切って仕掛けたことでコラプシング(故意に塊を崩す反則)を誘えた。メンバーを入れ替え後は、思うように組めないこともあったが、総じて型の美しさが目立った。
稲垣は言う。
「拮抗していました」
敗れたものの攻めは光った。
齋藤が後ろ向きの態勢からラインの裏に意表を突くキックパスを蹴ったのは、前半11分だ。その齋藤がトライを決めるなどして、一時、14―15と1点差に迫った連続攻撃では、堀江の巧みな突進、中央から左への深めのパスのつなぎ、アウトサイドセンターのディラン・ライリーのバックフリップパスが折り重なった。