練習嫌いで知られた異色“天才ウイング”エデン・アザールが32歳で電撃引退表明…ベルギー、英、スペインメディアが引退理由を探り「チェルシー史上最も偉大な選手」と大々的に報じる
英国の公共放送『BBC』は、アザールを「チェルシー史上で最も偉大な選手の一人」と称賛。在籍最終年となった2018-19シーズンのプレミアリーグでマークした、16ゴール15アシストが未来永劫に語り継がれる大記録だと報じた。
「プレミアリーグの歴史上で、1シーズンに15ゴール以上と15アシスト以上を同時に達成したアタッカーはわずか4人しかない。ティエリ・アンリとマット・ル・ティシエ、エリック・カントナ、そしてエデン・アザールだ」
同じく英大衆紙の『THE Sun』はチェルシーにとどまらず、アザールを「プレミアリーグの歴代ベストイレブンを語る上で欠かせない」とそのプレースタイルを称えている。
「両足を器用に駆使するアザールのプレーは見る者を魅了した。リオネル・メッシのようなバランス感覚、ティエリ・アンリのようなスピード、そしてジョージ・ベストのような冷静さ。これらを兼ね備えたアザールは、ボールが足に吸いつくようなドリブルから、ボックスの外からカーブをかけてゴール隅を射抜くシュートまで、完璧なウイングとは何なのかを再定義した。プレミアリーグでこれほどの才能に再び出会うのはかなり先になるだろう」
同メディアはさらに、アザールが愛された別の理由も報じている。
「彼が見せた親近感もファンの心を打った。数多くのライバルたちが夢中になっていた、ストイックな節制と過酷なトレーニングジムに通うことを避け続けたアザールは、ハンバーガーとフライドポテトを好んで頬張り、自宅で愛する妻や子どもたちとファミリーマンを演じるために、常に全体トレーニングだけで切り上げていた。アザールの気ままな態度は一部で『最も怠惰な男』とレッテルを貼られ、当時監督のジョゼ・モウリーニョも頭を悩ませていた。それでもピッチで強い輝きを放つ、気品と華麗さがあふれる天賦の才能とのギャップがファンを楽しませた。しかし、悲しいかな、レアル・マドリードへの移籍が終わりの始まりになってしまった」
レアル・マドリードで見舞われた故障禍は、もしかすると練習量の少なさや日々の食生活が遠因になっていたかもしれない。スペインのスポーツ紙『MARCA』も、30歳になる前に下降線をたどり始めたアザールのキャリアをこう振り返っている。
「稀有な才能に恵まれたプレイヤーでありながら、自分の人生と肉体を愛するサッカーのハードトレーニングには捧げないと決めた男がアザールである。それでいて、いまや希少価値になりつつある、幻想的なプレーを生み出す能力を備えていた」