「サイン漏れ事件」の真相とは？阪神・岡田監督と広島・新井監督の因縁と情報戦

15年ぶりに現場復帰した今季は開幕前に他球団の監督を見渡して「ベンチの勝負ができるのは原くらいか」と語っていたが、その巨人もペナントレース争いから早々と脱落。勝負だと見定めていた9月は、ほぼ「サインを出すこともなかった」という戦いでゴールテープを切った。だが、根っからの野球小僧である岡田監督が楽しみにしているのは、ヒリヒリするようなベンチの戦いである。
　前回の監督時には選手だった新井監督が、昨年までの阪神を知り尽くしている藤井ヘッドを参謀につけて情報戦を仕掛けてくるのであれば、読み合いこそ真骨頂と考える岡田監督にしてみれば、願ってもない戦いになるのだ。
　岡田監督は初戦を防御率タイトルを獲得した村上頌樹に任せ、最後まで最高勝率タイトルを東と争い、今季広島に6勝0敗、防御率0.57と抜群の相性を誇る大竹、10勝トリオの一人の伊藤将の3人をぶつけて3連勝を狙い、才木、西勇を4番手、5番手の先発として待機させる。一方の広島はファーストステージの3戦目に予定していた九里を初戦に立て、2戦目に大瀬良を予定しているが、エースの床田を中5日で第3戦に起用しなければならず駒不足だ。
　元千葉ロッテの人気評論家、里崎智也氏は、「阪神が絶対的に有利で突破確率は8割。広島が下剋上を起こすとすれば初戦を取るしかない。もし初戦を取ることができれば、2割の確率がグンと上がる」と予想する。
「CSは投手戦になるので、先発、ブルペン共に投手力の充実している阪神有利は揺るがない。ただ、村上と九里の投げ合いで、広島が勝てば、エースの床田が投げる時に阪神のマッチアップする投手が何番手かに下がるので逆転現象が起きる可能性が高まる。阪神が心配している打者の試合勘については、蓋をあけてみなければわからないし、10月にも試合があって、そこまで間隔はあいていないじゃないですか。私はそれほど問題だと思っていません」
　注目の第1戦はチケット完売の甲子園で午後6時にプレーボール。
　岡田監督は5日前に「（1番打者の）近本が第一打席に出塁したら勝ちますよ」と予告している。これも一種の情報戦だったのだろう。
（文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社）