なぜ久保建英は左足に不安を抱えながらも過密日程の中で強行出場したのか…激戦の2列目争いで示したかったものとは?
第二次森保ジャパンは期待通りにゴールラッシュを演じてくれる。カナダ戦に続いてチケットが前売り段階で完売したチュニジア戦で、理想的な波に乗っている代表チームを披露したかった。成長を続けたその先に、久保は壮大な夢を描いている。
ソシエダでの充実したシーズンを終えた6月上旬。地元メディアの取材に応じた久保は、日本のスポーツ文化を大きく変えたいと語っている。
「日本でもフットボールは流行っていますが、歴史では野球の方が長い。フットボールはプレー人口もファン人口も世界一のスポーツなので、日本でももっと注目され、もっと定着してほしいと望んでいます。そのために個人的にも話題を作っていきたい」
愛してやまないサッカーに注ぐ思いは、試合後のヒーローインタビューにも反映されていた。来たる11月からスタートする、2026年の次回W杯出場をかけたアジア2次予選へ向けて、久保はファン・サポーターにこんな言葉を届けている。
「この予選を通じてサッカーをもっと、もっと好きになってもらう人が増えるように、僕たちもピッチの上でいいプレーを見せていきたい」
サッカーの楽しさをも示したかったチュニジア戦を終えた久保は、心身のモードをソシエダに戻していた。中断明けの初現地時間21日。ホームのレアレ・アレーナに古巣マジョルカを迎えるラ・リーガ1部第10節は、14時にキックオフを迎える。
直行便が就航していないスペインへ戻る時間や時差ぼけを解消させる時間を含めて、マジョルカ戦へ向けた準備期間はほとんど取れない。それでも久保は言う。
「いやぁ、きついですね。いちおう睡眠薬をもらったので、飛行機のなかでスパッと眠れればいいんですけど。好発進できたチャンピオンズリーグでも、上位に食らいついているリーグ戦でも負けられない戦いが続くので、栄養などいろいろなところに気を配りながら、代表のスタッフとも連携を取ってコンディションの折り合いをつけていきたい」
パナソニックスタジアム吹田で11月16日に行われるアジア2次予選初戦の相手は、マカオ代表との同1次予選を2戦合計5-1で制したミャンマー代表に決まった。モードを再び代表に切り替えて帰国するまで、久保は貪欲にパワーアップを目指していく。
(文責・藤江直人/スポーツライター)