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阪神が広島にサヨナラ勝利。9年ぶりの日本シリーズ進出に王手をかけた
阪神が広島にサヨナラ勝利。9年ぶりの日本シリーズ進出に王手をかけた

阪神の岡田監督は不可思議なノイジー申告敬遠策に「先に(佐藤を)敬遠すると思ったけどな。(5番が)なめられとんな」…日本S進出に王手をかけたサヨナラ劇の裏にあった采配力の差

 シーズン終盤に調子を落としていた広島の大瀬良が、今年一番と言ってもいいほどの素晴らしい制球力で1-1のまま踏ん張っていた。打順の巡りで伊藤に代打を出す機会もなく、岡田監督は、先に動くことを嫌っていたのだろう。
 岡田監督は、将棋が大好きで、しかも段持ち認定を受けるほど強い。将棋中継をしている映像配信サービスのABEMAに加入しているほど。先日も藤井聡太の大逆転での8冠達成を見届けた。「先の先の先まで何手も読み、相手がこうくるから、こう手を打つ、という可能性を考えつくす、読み合いが面白いのよ」。将棋の醍醐味をこう話す。
 その勝負の鉄則にあるのが「先に動くが負け」の構えである。
 岡田監督の伊藤続投の裏には、先を読み、あえて我慢をするという勝負師の心得が見え隠れしていた。伊藤は、7回に先頭の上本にセンター前ヒットを許すが、末包にジャストミートされた打球が、差し出したグラブに収まり、飛び出した走者も帰塁できずにダブルプレー。何かを呼び寄せたかのように阪神にツキが巡ってきていた。
 8回からは、石井―島本の小刻み継投を繰り出す。島本が、想定外に野間、小園に連打を浴びたが、堂林のところでブルワーにスイッチした。代打松山がコールされることを読んだ上でのブルワー起用には「一番わからないピッチャー」との狙いがあった。
 そのブルワーは松山にボール球を振らせてスイングアウト。
「(打線が不振の中で)勝てているのはピッチャーが抑えているからや。大したもの」
 岡田監督は伊藤から岩崎まで1失点でしのいだ5投手を称賛した。
 投手力で守り抜き、四球でつなぎ、恐怖の8番で勝負を決める。
 シーズンで勝ってきた阪神の野球ですね?
「うーん、まあ、そういうことやん」
 岡田監督は笑ってうなずいた。
 
 9年ぶりの日本シリーズ進出にあと1勝。
今日20日の先発は今季広島に6勝0敗、防御率0.57と抜群の相性を誇る左腕の大竹である。お立ち台で木浪がナインの気持ちをこう代弁した。
「明日決まりますけど、とにかく自分たちの野球をしっかりとやって、今日みたいな足の震える応援よろしくお願いします」
 その後の囲み取材でヒーローインタビューでつい口を滑らせた「明日決まります」という言葉について確認された木浪は「こういうのが広がっちゃうとアレなんで」と生真面目に前言をこう訂正した。
「この勢いなら…普通に勝つようにという気持ちでいます」
 王手をかけたチームには不必要に広島を挑発するような浮ついたムードはない。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社

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