なぜRIZINはベラトールに5戦全敗したのか…日米を知る堀口恭司は「技術の遅れ」を指摘
中堅戦は、RIZINバンタム級王者の堀口恭司がベラトール代表として出陣。扇久保博正の左足をカーフキックで破壊して、自由自在にコントロールした。
副将戦では、朝倉未来、牛久絢太郎らに1本勝ちしてきたクレベル・コイケの“必殺技”が何も通用しなかった。ベラトール史上3番目となる2階級制覇王者で現フェザー級王者のパトリック・ピットブル(ブラジル)にタックルを仕掛けるが、テイクダウンは取れず、組み付くと投げ飛ばされた。得意の三角締めに引き込もうとするが、そのポジションに入れず、グラウンドの攻防でチャンスをうかがうが、ピットブルに付き合ってもらえない。打撃で活路を見出そうと、キックとパンチのコンビネーションで攻めるが、逆に右の威力のあるフックをカウンターで浴び、左目の上が切れて流血した。
「RIZINチームとして負けたことが寂しい。信じるという“違い”が出た」
見せ場を作れなかったクレベルは悔しさを隠さなかった。
4連敗でバトンを託された大将戦のサトシ・ソウザは、昨年ベラトールで開催されたフェザー級GPの優勝者で、元王者のトップスター、AJ・マッキー(米国)を追い詰めた。執拗に三角締めを仕掛けて、第2ラウンドには、バックを取り、四の字ロックからリアネイキッドチョークを狙える形にセットしたのだ。サトシは、右手、左手と交互に変えながら、マッキーのクビを狙うが、デイフェンスのスキルと腕力の差を見せつけられ決めきることができない。第3ラウンドにもチャンスを作ったが逃げ切られた。
セコンドについた父のアントニオ・マッキーが、10年前に「DREAM」で青木真也に腕を折られた因縁を持つマッキーは「憧れだった」という日本のリングを楽しんでいた。フットスタンプ、サッカーボールキック、代名詞のトリッキーな跳び膝まで繰り出した。
ベラトールはケージで戦うためマッキーは「リングは慣れずに滑った」というが、コーナーに押し込み、その角をケージ代わりにする戦法でリングというハンデをクリアしていた。判定結果は0-3だった。
2、3ラウンドは、ソウザが支配する時間が長かった。ラウンドごとの採点であれば、ソウザの勝ちもあったのかもしれないが、RIZINは3ラウンドのトータルで判断するという判定基準があり、右目が大きく腫れるほどのダメージを負い、ミドルキックを蹴り込まれるなどしたマッキーの打撃が評価されたのだろう。
なぜRIZINは敗れたのか。
扇久保との3度目対決にケリをつけた堀口のコメントが強烈だった。
「技術的に日本は遅れているのかな。僕も海外に渡って会得した。アメリカに行って肌で技術差、コーチの(指導力)差を感じた。世界へ出た方がいいんじゃないかなと思う」
米国のATTを本拠地としている堀口が、自らの経験をもとに伝えた意見だけに説得力がある。