「やっぱりCSはいらない?!」阪神vsオリの日本S実現で再燃した不要論…岐路に立たされた17年目を終えたポストシーズンゲーム
セパのCSが終わり、セは阪神が4連勝で広島を下し、パはオリックスがロッテを4勝1敗(いずれもアドバンテージ1勝を含む)で破り、それぞれ日本シリーズ進出を決めた。ペナントレースは阪神が2位の広島と11.5差、オリックスが2位のロッテと15.5差をつけた優勝だっただけに「独走Vしたチームが日本シリーズに出れなくて日本一と言えるのか?」などのCS不要論が噴出していた。そしてセパの覇者がCSを突破した結果、「やっぱりCSはいらない」という不要論が再燃した。導入から17年目を迎えたCSが制度を見直す岐路に立たされている。
岡田監督はCS不要論
オリックスの中嶋監督はCS優勝の公式会見で偽らざる本音を明かしていた。
「1位通過のプレッシャーもありますし、ゲーム差もあっての1位だったので、その点では、ほっとしたというのが一番です」
15.5ゲーム差で優勝したチームが“下剋上”をされたらファンに顔向けができないとの思い。しかも、過去2度も“下剋上日本一”を成し遂げているロッテがCSファーストステージでのソフトバンクとの第3戦で延長10回に3点差を追いつき、しかもサヨナラ勝利という奇跡的な勢いを持ったまま大阪に乗り込んできていた。投手“4冠”で防御率1.21の山本由伸がいきなり第1戦の初回に3点を失う非常事態まであった。
18年ぶりのアレを達成した阪神の岡田監督も、CSを前に「これで日本シリーズに出れないようなことになったら、ちょっとシラケるわな。誰も納得せんやろ。ファンはガッカリするやろな」という話をしていた。
岡田監督は評論家時代からCS不要論を持論としている。長いペナントレースを勝ち抜いた覇者同士の対戦こそが日本シリーズの本質ではないか?という意見だ。
現場を預かる責任者として僅差の優勝も10ゲーム以上の差をつけての優勝も同じ扱いでCSが開催され、ペナントレースを惨敗したチームに“下剋上”のチャンスが与えられる制度に対して改めて疑問が浮かんだのだろう。
また岡田監督はセの全日程が10月4日に終了したにもかかわらずCSの開催が14日までずれ込んだ日程について疑問を投げかけていた。パの最終戦は10月10日だったが、セの日程はあまりにも間延びしていた。
当然のように阪神、オリックスの両軍のファンからは、「10ゲーム以上離れた優勝の場合は、CSはなしでいいのでは?」「アドバンテージは2勝以上あってしかるべき」などのCS不要論、あるいはCS改革を求める声が多くあがった。
そして今回のCS突破の結果を受けて、「やっぱりCSはいらなかったじゃないか」とのCS不要論が再燃した。
CS導入以降、過去17年間で優勝チームが日本シリーズ進出を逃したのは、セでは2007年の巨人(2位の中日が進出)、2014年の巨人(2位の阪神が進出)、2017年の広島(3位の横浜DeNAが進出)の3度。パも同じく2010年のソフトバンク(3位のロッテが進出)、2018年の西武(2位のソフトバンクが進出)、2019年の西武(2位のソフトバンクが進出)の3度。そもそも“下剋上”が起きる可能性が約18%しかないCSに開催意義があるのか?との議論もある。
巨人OBでヤクルト、西武で監督を務めた“球界大御所”の広岡達朗氏もCS不要論を主張する一人だ。
「日本選手権(シリーズ)は、セパの優勝チーム同志で争われるものでシーズンを勝てなかったチームが出るべき場所ではない。143試合を戦って勝ち取った優勝をもっとリスペクトするべきだし、過去の日本選手権の歴史や意義が損なわれることになりかねない。そういう意味で阪神とオリックスが、日本選手権進出を決めたことは良かったが、シーズンで10ゲーム以上を離して独走したチームがCSを戦う意味があったのか。もうCSを見直す岐路に立っていると思う。プロ野球は、興行ではあるが、あまりにも商業主義が過ぎる。いきなり廃止が難しいのであれば、10ゲーム以上離れた優勝の場合はCSを行わないとか、1、2位だけのCSにするとか、優勝チームにさらにハンデを与えるなどのなんらかの改革が必要だろう」