「やっぱりCSはいらない?!」阪神vsオリの日本S実現で再燃した不要論…岐路に立たされた17年目を終えたポストシーズンゲーム
元千葉ロッテの人気評論家の里崎智也氏は、CS推奨派だ。現役時代に2005年(パだけプレーオフ)、2010年と2度“下剋上日本一”を実現した当事者である。
「そもそもCSは消化試合をなくすという経済的観点から導入されたもの。今年はパも最後までロッテ、ソフトバンク、楽天の3球団が熾烈な争いをしたし、セも、CSの本拠地開催をかけた戦いが白熱していた。マイナス要素は何もないでしょう」
里崎氏が主張するようにロッテ、ソフトバンク、楽天の3球団のCS出場権を巡る争いは熾烈を極め、ロッテと楽天の決着は10月10日の最終戦までもつれこんだ。
またセも巨人がCSに出場できるかどうかの戦いにファンの注目を集めたし、広島と横浜DeNAの本拠地開催権を巡る2位、3位の戦いも最終戦で決着がついた。
阪神とオリックスが独走Vしたことによって生まれる消化試合の弊害は、CS制度があったからこそ減っていた。またCSの戦いも、前述したロッテとソフトバンクの球史に残るようなドラマチックな試合がファンを熱狂させた。
ただ里崎氏は、今年のペナントレースには「唯一といっていいCSの弊害が生まれた」という。
「今年みたいに阪神、オリックスが独走してゲーム差が開くとCS出場の可能性のあるチームは、もう首位チームにエースを含めた表のローテ―をぶつけることを止めて照準を変えるんです。CS狙いの戦いにチーム戦略を切り替える。そうなるとますます首位チームとのゲーム差が開く。広島にしても阪神と首位争いができたのは8月まで。その弊害をなくすためのなんらかの工夫は必要なのかもしれません」
球界関係者の話によると、NPBは今オフにCS制度の見直しを真剣に検討する方向だという。ただパは、CS廃止論に対しては徹底抗戦する考えで、あくまでも制度の微調整で見直しが進む可能性が高い。過去に1度、議論されたことのある10ゲーム差以上をつけて優勝した場合はファイナルステージのアドバンテージを1勝から2勝に増やすという案が今度こそ正式に採用される可能性もあるだろう。いずれにしろ来年18年目を迎えるCSが変革の岐路に立たされていることだけは確か。NPBは開かれた議論を行った上でよりファンの支持を得ることのできる制度改革に手をつけるべきだろう。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)