タテジマ一筋で16年間プレーした左腕の岩田稔氏が来季の岡田阪神に2軍投手コーチで入閣へ(資料写真・黒田史夫)
タテジマ一筋で16年間プレーした左腕の岩田稔氏が来季の岡田阪神に2軍投手コーチで入閣へ(資料写真・黒田史夫)

阪神の元60勝左腕OB岩田稔氏が来季2軍投手コーチで入閣へ

 阪神が来季のコーチングスタッフとしてOBの岩田稔氏(39)を入閣させる方向であることが24日、明らかになった。岩田氏は2021年限りで引退した生え抜きの技巧派左腕で16年の現役生活で通算60勝をマーク。「コミュニティ・アンバサダー」としても活動していた。その野球理論と育成能力に期待して2軍の投手コーチ就任が有力視されている。

 “左腕王国”の土台作りへの期待

 

 日本シリーズ進出を決めた岡田阪神が水面下で来季に向けて動き始めていた。
 同時進行で来季の組閣を検討する中で、新たなコーチングスタッフとして岩田氏を入閣する方針を固めた。選手だけではなく生え抜きの指導者を育成したいという球団の考えもあり、岡田監督の意見をくみ取った上で、引退して2年、39歳の岩田氏に白羽の矢が立てられた。
 岩田氏は、岡田監督の前政権時代の2005年に関大からドラフトの希望枠で入団、3年目の2008年から岡田監督の抜擢を受けて頭角を現し10勝10敗、防御率3.28の成績で、夏場までのチームの快進撃に貢献し、翌年のWBCの日本代表メンバーに選ばれた。
 動くストレートを武器に、スライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップ、カットボールなどの変化球を駆使する技巧派で、コンパクトなフォームから、どの球種も腕の振りが変わらず、打者がタイミングの取りづらい投球フォームを研究しながら通算60勝82敗の数字を残した。その野球理論には定評があり、この2年間、投手目線からのテレビ解説も評判になっていた。
 肘の手術による1年以上の長いブランク、リハビリからの復活も経験しており、スポーツ医科学に関する見識も高い。
 また持病である1型糖尿病と戦いながら現役生活を全う。「1型糖尿病に苦しむ患者の方々の希望の星になりたい」と試合に招待するなど1型糖尿病患者の支援や研究活動への寄付などの社会貢献活動を現役時代から続けてきた。引退後は、球団が運営している「阪神タイガースWomen」、「タイガースアカデミー」で女子選手や、小中学生を指導してきた。
 ポジションは2軍投手コーチが有力。
 2軍には、広島との最終戦に先発した昨年のドラフト2位の門別啓人や、何度かチャンスをもらった同4位の富田蓮などの才能豊かな左腕が揃っており、また手術からの復帰を目指す高橋遥人もいるため、岩田氏には“左腕王国”の土台作りへの期待が寄せられている。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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