西武が国学院大の大型左腕である武内夏暉の1位指名を公表した(写真・AP/アフロ)
なぜ西武は国学院大の武内夏暉のドラフト1位指名を公表したのか?
元ヤクルトの編成部長で故・野村克也氏の元参謀としてヤクルト、阪神、楽天でコーチを務めた松井優典氏は、1位指名公表の狙いをこう分析する。
「ひとつは相手への誠意。もうひとつは他球団への牽制の意味もあると思う。今年のドラフトは大学生投手が大豊作で、1位指名が全員大学生投手で占められてもおかしくないほどのレベルが揃っている。外れでも1位とそん色のない選手を確保できるだろう。それぞれの球団の事情によって好みや選択肢が分かれるだろうが、トップ5は、青学大の常廣、国学院大の武内、東洋大の細野、横浜桐蔭大学の古謝、中央大の西舘の5人。なんとか重複を避けて単独で取りたいと考えているチームが、“他を単独で指名してくれよ”の牽制の願いを込めて公表したのだと思う。ただ外れでもつぶが揃っているので、常廣、武内あたりには重複覚悟で指名してくるチームがあるのかもしれない」
実際、武内については、ソフトバンク、中日、阪神らも1位指名候補としてリストアップしており、1位で重複する可能性も高い。また常廣についても、ヤクルト、日ハム、阪神らが注目している。西武の1位指名公表略の裏には、それらのライバル球団が指名を回避して他の投手の1本釣りへ戦略を切り替えさせたいとの狙いもあるのだろう。
今年のドラフトは岡田監督が提言したように蓋を開けてみなければわからないスリリングな展開になるのか。水面下での駆け引きはドラフト当日朝まで続きそうだ。
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