本格二刀流、159km右腕、超変則サイド、50m5秒台快足…ノムさんの“元参謀”が選ぶドラフトで指名すべき“異色のロマン枠”6人
いよいよ明日26日に都内のホテルでプロ野球ドラフト会議が開催される。西武が国学院大の武内夏暉投手の1位指名を公表するなどの駆け引きが出てきたが、元ヤクルトの編成部長で阪神ではスカウトも務め、故・野村克也氏の元参謀として知られる松井優典氏が注目しているのが、大化けの可能性を秘めたいわゆる異色のロマン枠。独自の情報と視点をもとにロマン枠候補の6人をリストアップしてもらった。
山形中央高の二刀流の武田陸玖は上位指名の可能性も
ドラフトには各球団に「ロマン枠」と言われる指名の枠がある。1、2位指名で消える即戦力や間違いのない将来性を持ったビッグネームの選手ではないが、一芸に秀でるなどプロで大化けする夢や可能性を多いに秘めた選手を指名する枠だ。
関西シリーズで盛り上がる日本シリーズにもロマン枠から出てきた選手が数多く登場する。18年ぶりの優勝を果たした阪神で最優秀防御率タイトルを獲得した村上頌樹は2020年のドラフト5位(東洋大)、現役ドラフトでソフトバンクから移籍してきて12勝2敗の数字を残した大竹耕太郎は育成ドラフト4位(早大)の選手。ケガの行方が心配されるオリックスの“ラオウ”こと杉本裕太郎は2015年のドラフト10位(JR西日本)で、その年に本指名された88選手中87番目の選手だった。
ヤクルトの元編成部長でノムさんの元参謀としても知られる松井氏は「ある意味ロマン枠の選手はスカウトの腕の見せ所。今年のドラフトでも指名しておきたいロマン枠候補の選手が何人もいる」と言う。松井氏は、その中から独自の情報問と視点で有望選手を6人リストアップした。
まずは2人の二刀流選手。山形中央高の武田陸玖と太成学院大の田中大聖だ。
左投げ左打ちの武田は、甲子園出場はできなかったが、投手としては最速149キロを投げ、打っては高校通算31発で広角に打てる。守備は一塁か外野。U18W杯メンバーに選ばれ9試合中4試合で「4番・DH」で起用され、打率.364、3打点の成績を残し、投手としても3試合に救援登板、計5回3分の1を投げて無失点に抑えている。上位で消える可能性のある逸材だ。
「武田は非常にポテンシャルが高い選手だ。投手としても140キロ台後半の回転量の多いストレートを投げ、多彩な変化球を使って緩急もつけられる。1m74と上背はないが、左腕だから問題はないだろう。バッティングは、バットスイングが速く、遠くへ飛ばす能力に加えて、逆方向にも強い打球が打てて変化球への対応力もある。私はバッターとしての武田を評価しているが、まだ高校生だから、チームによっては、二刀流をつきつめても面白い。ただ大谷翔平とは違い、投手としてはプロでは左のワンポイントだろう」
田中は中央では無名の完全な隠し玉だ。鶴岡東高では甲子園出場もなく、太成学院大が近畿大学リーグの2部では注目も集めにくいのだが、スカウトの間で評判になった馬力型の右投げ左打ちの二刀流。投手としては最速153キロをマーク。打っては2年の秋に首位打者、3年秋には4本塁打をマークしている、また95キロの巨漢だが、2年秋には10盗塁するなど、走れるのも特長だ。守備は一塁と外野が守れる。
「投手としては粗削りでコントロールはまだアバウト。どちらかと言えばプロではバッターだろう。パワーは十分でボールにスピンをかけて遠くへ飛ばす技術を持っている。試合になるとセンター中心で打率を稼ぐという器用な一面もある。近畿大学リーグの2部のレベルなので、大学生として時間がかかる素材型だが、大化けする可能性を秘めている」
野手では俊足&強肩&強打を誇る山梨学院大の宮崎一樹外野手の名前があがった。1m84、84キロと大型で、3年秋に5本塁打を放つなどのパンチ力もあるが、50mを5秒9で走るスピードタイプの右投げ右打ちの大型外野手だ。
「フィジカルが優れているがプロでは中距離タイプ。足と肩が魅力の一芸プレーヤーで、このタイプは、左打ちが多いが、右打ちなのも特長だろう。足と守りは、即戦力だから、チームによっては重宝する存在になるかも」