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広陵の真鍋は4位指名が終わると会見場から退席した。悔しい指名漏れとなった(写真・日刊スポーツ/アフロ)
広陵の真鍋は4位指名が終わると会見場から退席した。悔しい指名漏れとなった(写真・日刊スポーツ/アフロ)

なぜドラフトで“広陵のボンズ”真鍋や沖縄の“精密マシン”東恩納らが指名漏れとなったのか?

 プロ野球のドラフト会議が26日、都内のホテルで行われ、支配下72人、育成50人の計122人の選手が指名された。指名を受けた選手たちの華やかな会見とは裏腹に有力候補とされながらも指名漏れとなった選手も少なくなかった。広陵のボンズこと高校通算62本塁打の真鍋慧内野手、今夏の甲子園で2本塁打の森田大翔内野手(履正社)、U18W杯代表に選出された東恩納蒼投手(沖縄尚学高)らが指名されず逆に独立リーグからは過去最多となる23人が指名されるという現象も起きた。なぜ彼らはプロの評価を得ることができなかったのだろうか。

 真鍋は3位以上でなければ進学を選択とするという指名縛りをしていた

 

 笑う人がいれば泣く人もいる。これもドラフト。支配下、育成を含めて122人が指名されたドラフトで名前を呼ばれなかった有力候補が少なくなかった。“広陵のボンズ”こと真鍋もその一人。報道によると事前に3位以上でなければ進学という方針を各球団のスカウトに伝達してあったという経緯もあり、4位指名が終わった時点で会見場から退席したという。
 真鍋は、花巻東の佐々木麟太郎、九州国際大付高の佐倉侠史朗と共に“高校ビッグ3”と呼ばれたが、佐々木は米国留学を選び、真鍋は指名漏れ、佐倉だけがソフトバンクの育成3位に滑り込んだ。
 なぜ真鍋は指名漏れとなったのか。
 元ヤクルトの編成部長で阪神ではスカウトも担当、故・野村克也氏の側近としてヤクルト、阪神、楽天でコーチも務めた松井優典氏は、こう分析する。
「3位以内の縛りが影響したこともあるでしょうが、2年のセンバツから伸び悩んだ。ほぼ右足は小さく上げるだけのノーステップ打法で、ボールを引きつけて逆方向へも角度のある強い打球が打て、スイングスピード、パワーは高校生の中ではズバ抜けているが、2年から3年にかけてさらなるパワーアップが見られなかった。逆にちいさくまとまってしまった印象がある。インサイドのストレートに差し込まれるのもプロのスカウトからすればマイナス材料。守備位置が一塁だけに限られる点も、なかなか手を出しにくい理由だったのかも。今の状況を考えると、肩はあるので外野への転向も含めて大学で時間をかけて成長した方がいいのかもしれない。広陵側もプロの評価を把握しきれなかったという部分もあり、3位以内の縛りをつけたのだろう。真鍋の将来を見据えての前向きな方針だったと思う」
 今夏の甲子園での成績は、2試合で打率.375、8打数3安打3打点。立正大淞南戦の6回二死満塁から放った滞空時間の長い、走者一掃のタイムリー二塁打が話題となり、変化球への対応力を見せたが、ノーアーチに終わり、しかも、慶応との3回戦で3-3で迎えた9回裏無死一塁のチャンスにバントを試みて失敗。真鍋の現在地を象徴するシーンになってしまった。
 また右のスラッガーでは、夏の甲子園で2本塁打を放った履正社の4番打者、森田もかからなかった。
 「パワーは見せ、バットスイングも超高校級だったが、中距離止まり、外角変化球への対応力が不足していた点がマイナスになったのかも。広島が4位指名した沖縄尚学高の仲田も外角の変化球にバットが止まらないタイプだが、まだ柔軟性がありパワーも上だった」と松井氏。
 野手では、近江高時代からプロが注目していた関西大の捕手、有馬諒も指名されなかった。大学、社会人の捕手には高度なスキルが求められる傾向がある。
 また投手に目を向けると、大学では法大の150キロ左腕、尾崎完太、明大の蒔田稔、立大の池田陽佑、高校生では沖縄尚学高の東恩納、仙台育英高の仁田陽翔、神村学園高の黒木陽琉らが指名されなかった。
 松井氏が、「今回の予想に反する指名漏れで残念だった」として名前をあげたのは、夏の甲子園では初戦で完封勝利をしてベスト8に進み、その後、U18W杯代表にも選出されプエルトリコ戦では5回をパーフェクトに抑えた“精密マシン”東恩納と、平成国際大の最速155キロをマークした大型右腕の冨士隼斗の2人だ。

 

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