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岡田監督の采配がズバズバ的中した
岡田監督の采配がズバズバ的中した

なぜ阪神は日本S初戦でオリ“4冠”山本由伸から7点を奪いKOできたのか…岡田監督の心理の裏をかくサトテル盗塁と直球狙いの絶妙采配

 日本シリーズの第1戦が28日、京セラドーム大阪で行われ、阪神がオリックスに8-0で圧勝した。3年連続で投手4冠を獲得している山本由伸(25)から7点を奪って攻略。村上頌樹(25)は7回を2安打無失点に抑えて勝ち投手となった。前年度0勝の投手が日本シリーズで勝利したのは史上初の快挙。采配の冴えわたった岡田彰布監督(65)も監督として日本シリーズ初勝利を手にした。

 18年前の教訓が采配の背景に

 

 岡田監督の“一手”に山本の何かが狂った。
 緊迫の投手戦。0-0で迎えた5回に先頭の佐藤がカウント1-1からのストレートに若干つまりながらもセンター前へ弾き返して出塁すると、ノイジーを迎えた、その初球になんと盗塁を仕掛けたのだ。いいスタートを切った。しかも投球はフォーク。インコースに流れて、落ちたボールは、打者のノイジーに重なって送球が難しい。サトテルはヘッドスライディングを試みたが、楽々セーフとなった。今季7盗塁。佐藤が走るパターンは、データとしてあったはずだが、オリックスバッテリーはノーマークだった。
 岡田監督は、試合後の場内インタビューで、サインか?と聞かれ「まだ試合があるんで言えない」とごまかしたが、各紙の報道によると、その後の囲み取材で「中野がその前にアウトになっているから(初球から盗塁は)来ないと思うやんか。(佐藤は)思い切りがいいから」と理由を明かした。
 岡田監督は、一回一死二塁のチャンスに中野に盗塁のサインを出していた。カウント1-2からの外角ストレートを森下が見送り、三振ゲッツーとなったが、岡田監督は、ひるむどころか、その盗塁失敗を伏線に使い、山本―若月バッテリーの裏をかいたのである。報道によると、中嶋監督も「隙があったのかも」と認めた。

 実は、この佐藤への盗塁サインの裏には岡田監督自身の“トラウマ”が隠されていた。
 話は18年前にさかのぼる。監督として日本シリーズ初采配となるロッテとの頂上決戦にまさかの4連敗。計33失点で4得点しか奪えずファンの間で「33-4」の屈辱の記録として語り継がれることになったシリーズである。その第1戦。ロッテ先発の清水直行から1回に1番打者の赤星憲広が四球を選ぶ。岡田監督は「いつでも行っていい」のグリーンライトのサインを出した。その年、赤星は60盗塁をマークした盗塁王である。だが、次打者、鳥谷敬の打席で、赤星は、清水―里崎智也のロッテバッテリーに対して盗塁を仕掛けることができなかった。
「あの赤星でさえ走れんのよ。試合間隔が空いていたことと、プレッシャーやな」
 今でも岡田監督は、昨日のように語る。
 その教訓を胸に、ディスボールと言われる「そのボールで走れ!」というサインを中野、そして佐藤に送ったのである。ベンチの責任で選手の背中を押したのだ。
「あの盗塁で勢いがついた」
 岡田監督は、そう振り返ったが、明らかに山本の様子がおかしくなった。ノイジーが右狙いの進塁打を心掛け、ライトフライで佐藤が三塁へタッチアップ。一死三塁の先制機を作り、岡田監督が、前日の打撃練習の内容を見て「打つと思った」と「7番・DH」で起用した渡邉諒が、初球の155キロのツーシームに、つまりながらも、センター前へ執念の先制タイムリーを落とした。

 

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