なぜ阪神は日本S初戦でオリ“4冠”山本由伸から7点を奪いKOできたのか…岡田監督の心理の裏をかくサトテル盗塁と直球狙いの絶妙采配
勝負運もあった。4点のリードをもらった5回裏。先頭の森にレフトの天井にまで届く凄まじい打球を打たれたが、天井のスーパーリングの中に入ったため、球場特別ルールで本塁打でなくエンタイトルツーベースの判定となった。続く頓宮にフルカウントから、低めギリギリに投じたストレートは、ストライクともボールともとれる高さだったが、坂本の絶妙のフレーミングテクニックも手伝ってストライクと判定された。紅林を歩かせ、6月の交流戦で一発を浴びているゴンザレスには、タイミングのあったファウルを連続して浴びるなど、10球も粘られたが、最後はドンつまりのセカンドへのライナーに打ち取りピンチを脱出した。
一方のオリックス打線は、故障から出場が危ぶまれた頓宮、紅林をスタメンに並べたが、CS第4戦で左足首を痛めた“ラオウ”杉本はベンチに入らず、ファームでの村上との対戦経験を買ったのか、今季わずか12試合しか出場していない大阪桐蔭高出身の2年目の池田を1番で起用したが、併殺打を含む2三振の4タコに終わり、中嶋采配は空回りした。
エースが抑え、打線の肝である近本、中野の1、2番コンビが、それぞれ3安打、2打点という最高の形で阪神が日本シリーズの初戦を取った。岡田監督は監督としては日本シリーズ初勝利である。
「前回4連敗しているんで。久しぶりにこういう舞台に立てたというのは光栄に思うし、初戦でこういう勝ち方をしたんでね。明日からまたゲームが続くんで。この勢いでゲームをやっていきたいと思います」
岡田監督は「第2戦を制するものが日本シリーズを制する」と言われる重要な第2戦の先発に元オリックスの西勇を指名した。シーズン終了直前に「今一番調子のええピッチャーは西よ」と評価していた右腕である。一方のオリックスは、今季10勝4敗、防御率2.27のWBC戦士の左腕、宮城。ロッテとのCS第2戦では6回無失点の素晴らしいピッチングを見せていた。完敗した中嶋監督は「切り替えやすいのかもしれない」と前向きだったという。
シリーズ前に「4勝3敗で阪神」の予想を立てていた池田氏は「打線の機能しなかったオリックスが、宮城で負ければ、一気に甲子園で阪神がケリをつける可能性もある。その意味でシリーズのポイントとなる第2戦になる」と展望する。
虎の勢いか。オリの逆襲か。プレーボールは午後6時30分だ。
(文責・RONSPO編集部)