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シリーズ無安打だったオリックスの宗が5回二死一、二塁から値千金の2点タイムリーツーベースを放つ(資料写真)
シリーズ無安打だったオリックスの宗が5回二死一、二塁から値千金の2点タイムリーツーベースを放つ(資料写真)

「本当にしびれた」何が阪神vsオリ1点差ゲームの明暗を分けたのか…「これぞ日本S」岡田監督と中嶋監督の“究極の采配対決”

 スポーツ各紙の報道によると、試合後の囲み会見で、岡田監督が、繰り返し悔やんだのは、この場面だった。
「ひとつアウトでええのにゲッツーを取れると思ったんやろうな。しょうがない。紙一重よ」
 結果的に痛恨のミスとなった。二死となってシリーズノーヒットの宗に打席が回ってきた。
「打てる気配は全然なかったですが、最後は気合で、なんとか粘っていたんで、打てるかなと思い切っていました」とは、宗の試合後談話。
 宗はストレートで内外を攻められたが、ファウルで粘った。
 カウント2-2から伊藤将が外角低めに投じたカットボールは、ストライクとコールされても、おかしくないギリギリのコースに決まったが、判定はボール。次打者は、初回にヒットを打たれている要注意の3番の森。フルカウントとなって伊藤将の心のどこかに森との対戦を避けたいとの心理が働いたのだろう。
 ストライクを取りにいった142キロのストレートが甘く浮き、宗が捉えた打球は右中間へ。2点を加えるタイムリーツーベースとなった。
「つないでつないでがうちのスタイル。いいつなぎをしてくれた」
 中嶋監督もその集中打を称えた。
 阪神は6回にも1点を失い4点差となった。阪神からすれば完敗ムード。だがあきらめない。7回に3番手の山岡に襲いかかり、坂本、木浪の連打から、近本の四球も絡み、一死満塁として中野の一ゴロで1点を返した。さらに二死二、三塁のチャンスに岡田監督から“愛の叱咤”を受けていた森下が、山岡のウイニングショットのスライダーを逆方向へ弾き返し、1点差まで詰め寄ったのである。
 中嶋監督の投手継投は一手遅かった。だが、大山を迎えたところで、“8回の男”宇田川を繰り上げて投入した。シリーズ用のスペシャル采配だろう。大山にはバットの芯でとらえられたが、その強烈な打球を宗が「絶対に体のどこかに当てて止めてやる」と体勢を崩しながらも好捕して一塁でアウトにした。
 この宇田川の起用を巡ってはパの監督ゆえの小さなミスもあった。中嶋監督は、8回の打順を考えずに宇田川を9番に入れていたのだ。走者が2人出れば打席が回ってくる。本来なら途中出場で4番に入っていた安達のところに宇田川を入れておくべきだったのだ。
 案の定。8回に打順が回ってきそうになった。
 ここでも両軍ベンチの駆け引きがあった。二死一塁で、8番打者の廣岡に打順が回ってきた際に岡田監督は、わざわざベンチの前に出て、宇田川がそのままくるのか、代打が誰なのかのオリックスの動きを探ったのだ。廣岡を歩かせ、宇田川に代打を出させて、8回裏の攻撃にチャンスを見出すか、それとも、廣岡と勝負させて、あえて宇田川に回跨ぎさせ、明日、明後日への連投の影響を考えるのか。オリックスのベンチからは山﨑颯一郎が外れていた。結局、岡田監督は、廣岡との勝負を選び、4番手の石井が見逃しの三振に打ち取った。

 

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