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オリックスは9回に満塁策を取ったが打率1割台だった阪神の大山悠輔がサヨナラ打を放つ(写真は資料)
オリックスは9回に満塁策を取ったが打率1割台だった阪神の大山悠輔がサヨナラ打を放つ(写真は資料)

「ホンマにありえない?」阪神のサヨナラ劇につながったオリックス中嶋監督の満塁策は正しかったのか…識者の間で割れる賛否

 MBS系列でラジオ解説を務めた“ミスタータイガース”掛布雅之氏も番組内で疑問を投げかけた。
「森下の敬遠はわからない。(なぜ走者を)詰めたのかわからない。これだけ(制球が)荒れてていてですよ。一つベースを空けて勝負するべきだったと思います」
 また阪神OBのエモやんこと江本孟紀氏も、フジテレビ系列CS放送のプロ野球ニュースの中で、「結果論で言うわけでなく失敗。1点を取られたら終わりというときに、このピッチャーでいいのかな? 満塁策ってピッチャーはどう考えてもきつい」と、ワゲスパックの起用も含めて9回の中嶋采配に否定的な意見を述べた。
 ワゲスパックは、昨年まではストッパーを務め、日本一の胴上げ投手となったものの、今季は4勝7敗、2S、防御率5.77の成績しか残せていない。しかも、通常4.0以上で悪いとされる与四球率は5.36と最悪だった。満塁策を失敗と論じる意見は総じて制球力に不安のあるワゲスパックに押し出しの危険がある満塁策を選択したことにあった。
 一方、パの野球に詳しい阪神OBでもある池田親興氏は、満塁策を支持した。
「満塁策は間違っていなかったと思う。走者三塁となってゴロゴーで中野の内野ゴロで1点を取られるのが怖かっただろうし、森下には、前日のゲームに続き、初回にタイムリーを打たれていて、そのイメージが残っていたと思う。逆に大山の打撃内容は良くなかった。中嶋監督が、その選択をしたのは理にかなっている。ただひとつ間違いがあるとすれば、ワゲスパックがまったく変化球を制球できていなかったこと。大山にすればストレート1本に絞れるし、あのコントロールでは、押し出しの危険もあった。本当なら山﨑颯一郎だったんだろうけど、彼がいないというチーム事情もあった。宇田川の回跨ぎも選択肢としてあったのだろうが、9回に代打を出さざるを得ない打順の巡りになっていた。これもひとつの勝負のアヤ。岡田監督と中嶋監督の采配勝負には見ごたえがあったが、湯浅の起用も含めて、この日は、岡田監督の勝負手がひとつ上をいったということだろう」
 スポーツ各紙に報道によると中嶋監督も「本当は(満塁策で走者を)ためたくはなかったんですけど、ストライクゾーンに入らないという(ワゲスパック)不安材料が出ちゃった」と、ワゲスパックの制球難が誤算だったと明かしたという。
 実は、池田氏が指摘するように、8回の攻防にサヨナラ劇につながる流れを作る両軍ベンチの壮絶な采配勝負があった。
 阪神は、一死一、三塁のピンチを迎え、代打のTー岡田がコールされると、オリックス時代の名付け親でもある岡田監督は、石井から左腕の島本へとスイッチした。すると中嶋監督は代打の代打の安達を打席に送った。島本が安達を三塁ゴロに打ち取り、3三振に加えて痛恨のエラーまでしていた佐藤に代わって7回から途中から三塁の守備に入っていた糸原がバックホームを決めて得点を許さなかった。1番に打順が帰って中川を迎えると、なんと岡田監督が湯浅をマウンドに送った。6月15日のオリックスとの交流戦で2-1で迎えた9回にマウンドに立ち、頓宮に同点本塁打、さらに杉本に勝ち越しアーチを浴びる悪夢の敗戦投手となって以来、脇腹を痛めたこともありファーム調整が続いていた前守護神のWBC戦士である。

 

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