なでしこがパリ五輪最終予選で“未知の洗礼”待つ敵地の平壌で北朝鮮戦…賛否飛び交った「得点を奪わない戦略」成果で豪州戦は回避したが…
女子サッカーのパリ五輪アジア2次予選の最終節が1日に行われ、グループCのなでしこジャパンはウズベキスタンのロコモティフ・スタジアムでベトナムに2-0で勝利し、無傷の3連勝で1位突破を決めた。グループAはオーストラリア、グループBは北朝鮮が1位突破し、2位の最上位国はグループCのウズベキスタンに決定。これにより、ホーム&アウェイ方式で行われるアジア最終予選の組み合わせは、日本-北朝鮮、オーストラリア-ウズベキスタンに決まった。なでしこは来年2月24日に北朝鮮、同28日に日本で対戦するが、敵地・平壌には、一筋縄ではいかない“未知なる洗礼”が待ち受けている。
アジアの切符は2枚だけ
なでしこジャパンの池田太監督(53)が描いたシナリオ通りに、来夏のパリ五輪出場をかけたアジア最終予選での強敵オーストラリアとの対戦を回避できた。しかし、状況によってはオーストラリアを上回る難敵、北朝鮮との一騎打ちが決まった。
1日に一斉に行われたアジア2次予選の最終節。グループCのなでしこはウズベキスタンのロコモティフ・スタジアムでベトナムと対戦し、前半40分にDF清水梨紗(27、ウェストハム)、後半8分にはDF守屋都弥(27、INAC神戸)がゴール。守ってはベトナムをシュートわずか1本で零封し、無傷の3連勝をマークして1位突破を決めた。
グループAは台湾に3-0で快勝したオーストラリアの1位突破が、グループBはタイに7-0で圧勝した北朝鮮の2位以上がそれぞれ決定。そして、各グループの最終順位とアジア最終予選の組み合わせが決まる第2試合で波乱が起こった。
勝者が最終予選へ進むはずだったグループBの韓国と中国の一騎打ちは、後半17分に韓国が先制するも、同33分に中国が追いついてそのままドロー。共倒れの形で2次予選敗退を喫し、同グループからは1位となった北朝鮮だけが最終予選へコマを進めた。
そしてグループCではウズベキスタンが3-0でインドに快勝。勝ち点を6に伸ばしてなでしこに次ぐ2位に浮上し、さらにグループAのフィリピンを得失点差で、グループBの韓国を勝ち点でそれぞれ上回って2位の最上位国となった。
来年2月24日と28日にホーム&アウェイ方式で行われるアジア最終予選へは、各グループの1位と2位の最上位国の計4カ国が進む。しかも、どのグループの2位が最上位国になるかによって組み合わせが変わる、複雑なレギュレーションが定められていたなかで、日本-北朝鮮、オーストラリア-ウズベキスタンの対戦がそれぞれ決まった。
これがグループAの2位が最上位国となった場合、日本はオーストラリアとホーム、敵地の順で戦うレギュレーションになっていた。先の女子W杯でなでしこのベスト8を上回るベスト4進出を果たした実力に加えて、南半球への長距離移動、そして日本とは真逆の季節に対する暑熱対策が必要になるオーストラリアとの対戦だけは回避したかった。
こうした事情も絡んだなかで、10月29日のウズベキスタンとの第2節で池田監督が選択した、消極的に映る戦い方が国内外で大きな波紋を呼んだ。
前半15分までに2点を奪ったなでしこは、以後の75分間を無難なパス回しに終始。両サイドを攻め込んだ場面でも、次なるプレーの選択肢のファーストプライオリティーは、相手ゴール前へのクロスではなく味方へのバックパスに置かれた。
最終的に2点目を奪ってからは、放ったシュートも0本に終わった。意図的に追加点を狙わせなかった池田監督は、試合後にこう語っている。
「勝ち点3をしっかり取ることにフォーカスした。それほど多くのゴールを必要としなかったので、2点を取った後はボールを維持するゲームとなった」
この時点でなでしこはグループCの1位突破をほぼ手中に収め、対するウズベキスタンは1勝1敗の3位。しかしながら得失点差をマイナス1にとどめ、インドとの最終節におけるスコア次第で2位の最上位国に滑り込む可能性を残していた。