なでしこがパリ五輪最終予選で“未知の洗礼”待つ敵地の平壌で北朝鮮戦…賛否飛び交った「得点を奪わない戦略」成果で豪州戦は回避したが…
最終節で韓国に勝てばウズベキスタンに勝ち点で並び、得失点差で上回って2位の最上位国になれただけに、なでしこの戦略を真っ向から批判していた中国メディアの『捜狐』は「予定よりも早く五輪に別れを告げた」と日本にはいっさい触れずに、2012年のロンドン五輪以来、3大会ぶりとなるアジア予選敗退を嘆いた。
「中国女子代表チームの凋落がますます加速している。自国で開催された先のアジア大会では、準決勝で日本のセカンドチームに敗れて銅メダル止まりだった。さらに来たるパリ五輪はアジア最終予選を前にして、観客にならざるをえなくなった」
五輪に女子サッカーが採用された1996年アトランタ大会から、これで8大会続けてアジア予選敗退を喫した韓国女子代表を、同国メディアの『Xportsnews』は「死のグループで笑ったのは北朝鮮だけだった」と、日本には触れずにこう報じた。
「アジア大陸に与えられる五輪本大会の切符はたった2枚しかない。常に激しい競争を余儀なくされるなかで、五輪初出場の夢はまたもや4年延期された」
一方でグループCを3戦全勝、11得点に対して無失点で1位突破し、さらにシナリオ通りに同組のウズベキスタンが2位の最上位国なったなでしこにも不安が残る。
最終予選は初戦が北朝鮮の、第2戦が日本のホームでそれぞれ行われる。会場はともに発表されていないが、北朝鮮が首都・平壌での開催を決めれば、未知なる戦いを強いられる。いま現在のなでしこで、平壌でプレーした経験を持つ選手はいない。
国交のない北朝鮮への入国には、ビザ取得の段階から煩雑な手続きを踏まなければならない。さらに宿泊ホテル内での過ごし方や5万人収容の人工芝の金日成競技場でのプレーなど、通常のアウェイ戦とはまったく異なる条件下での戦いが待つ。
北朝鮮との通算対戦成績は7勝5分け12敗とアジア勢のなかで唯一、日本が負け越している。ただ、アテネ五輪出場をかけた2004年4月の一戦で日本が勝利し、なでしこジャパンの愛称がつけられてからは5勝4分け5敗の五分。なでしこジャパンではなく、若手主体の日本女子代表で臨んだ先の杭州アジア大会では日本が4-1で快勝している。
北朝鮮はコロナ禍を理由に、2018年9月のジャカルタ・アジア大会を最後に国際舞台から姿を消していた。この影響で現時点ではFIFA女子ランキングから除外されているが、2000年代は中国に代わってアジア女王に就く実力国でもあった。