なでしこがパリ五輪最終予選で“未知の洗礼”待つ敵地の平壌で北朝鮮戦…賛否飛び交った「得点を奪わない戦略」成果で豪州戦は回避したが…
国際舞台への復帰戦となった杭州アジア大会もスコア上では完敗だが、日本が後半21分以降の6分間で3ゴールを奪うまでは拮抗した展開が続いていた。一転して大差がついてからはラフプレーも散見され、日本の選手が負傷退場を強いられている。
男子の代表戦でもFIFAランキングに関係なく、執念をむき出しにして臨んでくる北朝鮮は常に一筋縄ではいかない相手だった。
例えばザックジャパン時代のW杯アジア3次予選で同組になった2011年は、9月のホーム戦で試合終了間際のゴールで1-0と辛勝し、11月に平壌で行われたアウェイ戦では0-1で敗れている。日本がアジア最終予選を決めた後の消化試合だったが、統率された約5万人の応援とブーイングに圧倒され、相手の激しい当たりに完全にペースを崩された。
まだ記憶に新しい杭州アジア大会の準々決勝では、U-22代表で臨んだ日本が男子大会規定のU-24代表にオーバーエイジを加えた北朝鮮に2-1で辛勝した。しかし、試合はラフプレーを連発した北朝鮮が6枚のイエローカードをもらい、試合後には決勝点となったPK判定を不服として審判団を追い回す異例の行動に打って出ていた。
この試合を受けて、日本サッカー協会(JFA)はアジアサッカー連盟(AFC)と国際サッカー連盟(FIFA)へ意見書を提出。問題視される場面の映像も添付した上で選手の安全を守るために必要な措置を求めたが、具体的な回答はまだ得られていない。
日本と北朝鮮は2026年の次回W杯出場をかけた男子のアジア2次予選でも同組になり、来年3月21日に日本のホーム、26日にはアウェイで連戦が組まれている。現時点で試合会場は発表されていないが、北朝鮮はホームにシリアを迎える今月16日の初戦を、ここにきてアウェイ戦と入れ替えた。シリアも内情不安でホーム戦を開催できないため、サウジアラビアのジッダで代替開催される旨が、AFCの公式HPに掲載されている。
北朝鮮の出方が見えない状況が続くのは必至だが、いずれにしても池田監督にとっては、オーストラリアとの対戦を避けたいと考えを巡らせた時点から想定の範囲内だったはずだ。長距離移動や暑熱対策が不要になり、さらにはホームの第2戦でパリ五輪出場を決められる状況を“手土産”に帰国する今日2日から、なでしこの新たな戦いが始まる。