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阪神のスーパールーキー森下が8回に逆転の2点タイムリースリーベースを放つ(資料写真)
阪神のスーパールーキー森下が8回に逆転の2点タイムリースリーベースを放つ(資料写真)

「ナゼ。山本由伸を投入しなかった?」阪神の大逆転を許した“8回の悪夢”はオリックス中嶋監督の継投ミスだったのか?

 日本シリーズの第5戦が2日、甲子園球場で行われ、阪神が6-2でオリックスに逆転勝利し、対戦成績を3勝2敗として38年ぶりの日本一に王手をかけた。オリックス先発の田嶋大樹(27)は7回まで4安打無失点に抑えていたが、8回からの山﨑颯一郎(25)、3連投となった宇田川優希(24)への継投策が裏目に出た。中嶋聡監督(54)はエースの山本由伸(25)をベンチ入りさせていたが起用せず、その采配に迷いが見えた。一方の阪神は、滅多にやらない攻撃時の円陣と湯浅京己(24)の起用でムードを変え、痛恨のエラーを犯していた森下翔太(23)が逆転打を決めた。第6戦は明日4日、京セラドーム大阪に舞台を移す。

3連投した宇田川の定まらなかった制球

 日本一連覇を狙う指揮官の決断が明暗を分けた。
 2-0で迎えた8回のマウンドに中嶋監督は山﨑颯一郎を送った。
先発田嶋の球数は83球。立ち上がりは不安定だった左腕は、3回以降、明らかにギアを上げて立ち直り、151キロをマークした威力のあるクロスファイアーで阪神打線を沈黙させていた。
 スポーツ各紙の報道によると、中嶋監督は「いつもでしたら(田嶋を8回も)行ってたと思うんですけど。ちょっと芯に当たりだしたかなと。迷わずといえば迷わずです」と、継投の場面を説明したという。
 7回は二死から佐藤の強い打球が一塁線を襲ったがゴンザレスが好捕、坂本の三塁の正面をついたライナーもいい当たりだった。変化球が大きく外れるボールもあり、中嶋監督の嗅覚が継投を決断させた。
 オリックスの勝ちパターンリレーである。
 岡田監督も「もう代わると思っていた」とオリックスの動きを読んでいた。だが、いつもと状況は違っていた。理由は明かされていなかったが、何らかの異常が発生して山﨑颯は甲子園での第3、4戦と続けてベンチを外れていた。
 山﨑颯の木浪への初球は149キロ。152キロをアベレージに投げる山﨑にしてみれば、いつもの球速がなかった。高いバウンドのセカンドゴロに打ち取ったが、焦った安達の送球が大きく上へそれ、カメラマン席に入り木浪は二塁進塁となった。失策が得点につながるのが、今シリーズの特徴。代打糸原にレフト前ヒットでつながれ、無死一、三塁から近本に138キロの抜けたフォークをライト前に弾き返されて1点差となった。中野にバントを決められ一死二、三塁となったところで中嶋監督は宇田川にスイッチした。
 宇田川は、シリーズ4試合に登板、これが3連投だった。シーズン中には、「3連投をさせない」の鉄則がオリックスにはあるが、中嶋監督はブルペンから「状態はいい」との報告を受けており、三振の取れる宇田川の起用をためらわなかった。
 しかし宇田川もまたいつもの宇田川ではなかった。
 コントロールが定まらずフォークも落ちない。
 森下を2-2と追い込みながらもフォークを2球続けてファウルにされ、若月が中腰になって高めのストレートを要求していたが、そのボールは低めへ行き、コンパクトにミートすることを心掛けていた森下に左中間をライナーで破られた。
 逆転の2点タイムリースリーベースを放った森下は三塁ベースを拳で2度叩いて喜びを表現。宇田川はヒザに手をおき、しばらく下を向いたままだった。

 

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