【緊急連載4】阪神の岡田監督が“浪人時代”に体験したドバイでのファン交流…優勝スピーチで虎党へ熱い感謝の意を伝えた理由とは?
岡田監督の長男・陽集氏は、一流商社に勤めているため、駐在員として海外を転々としており、数年間、アラブ首長国連邦の中心都市であるドバイの勤務をしていたことがある。岡田監督も、奥さんの陽子夫人と何度か、そのドバイを訪れた。
観光都市であり、アラブ経済の中心都市。まるで未来都市のようであり、空港には、世界一の巨大な免税店があることや、想像を絶する暑さ、世界一の超高層ホテルの高速エレベーター、ほとんど税金がないためガソリンやタクシー代や物価が安いことなど、いろんなドバイの旅行談を聞かせてもらったが、航空会社エミレーツの本拠地があり、日系企業の駐在員など、多くの日本人が住んでいるという。昨年の時点での在留邦人の数は約3300人。そして、その日本人コミュニティの中に、なんと阪神ファンの集い、ドバイ猛虎会があった。陽集氏の仲介で、岡田監督は、数十人が参加した食事会に特別ゲストとして招かれて簡単な講演をした。当時は、評論家だったがドバイに住む阪神ファンの方々からすれば、まさか阪神の大物OBと、こんな遠いアラブの国で交流できるとは思ってみなかっただろう。
現地で熱烈な歓迎を受けた岡田監督は、「ドバイにまで熱心なファンの方がいるんよ。なんかテレビで試合中継も見れるらしいんやな。だから詳しいのよ。ほんまタイガースってすごいよな」ととても感激していた。
甲子園だけではない。世界中に住む虎党が阪神を支えてくれている。
プロ野球選手は何のためにプレーしているのか。プロ野球の監督は何のためにチームの勝利に全身全霊を捧げるのか。もちろん、野球が好きだ、もっとうまくなりたいという大前提のモチベーションはあるが、職業としてのプロ野球選手、プロ野球監督は、突き詰めるところ、ファンによって支えられ、そのファンに勝利や感動という究極のエンターテイメントを提供するために存在する。それも世界中のファンのために…。
それをドバイで実体験した岡田監督は、ユニホーム復帰した今、以前にも増してファンを大切にするようになった。そして、そのファンの力が、18年ぶりの“アレ”と、38年ぶりの“アレのアレ”達成を後押ししたことは間違いない。
オーナーへの日本一報告会の後の会見で、岡田監督は、世界一のファンに向けて「選手はこれ(ファンの大応援)に甘えず、自分らの力をつけていって声援を背にもっともっと強いチームにしたいですね。それが僕らの使命」と約束し、優しくこう呼びかけている。
「ファンの人も、優勝、日本一の余韻に浸って、ちょっとゆっくり休んでほしいですね。応援疲れがあるかもしれないですね。のんびりとお酒でも飲んで語り合ってもらいたいです」
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)