なぜ三笘薫は負傷者続出のブライトンで稼働率約94%の驚異的な鉄人ぶりを発揮できているのか…欧州リーグのアヤックス戦に2-0勝利
すでに右ウイングのソリー・マーチ(29)が長期離脱し、元イングランド代表FWダニー・ウェルベック(32)やガーナ代表DFタリク・ランプティ(23)、パラグアイ代表FWフリオ・エンシソ(19)、ポーランド代表MFヤクブ・モデル(24)も戦列を離れている。
さらにグロスも後半終了間際に左太もも裏を気にするしぐさを見せ、コーナーキックのキッカーを回避している。“野戦病院化”に拍車をかけるように、90分間で3人もの負傷交代者が出る緊急事態。前出の『Sussex World』は、試合後のデ・ゼルビ監督の言葉を伝えている。
「今シーズンが始まる前からとても難しく、タフな戦いになることはわかっていた。(3人は)それほど深刻な怪我ではないと思うが、いずれにしても非常に厳しい戦いがこれからも続くなかで、選手の起用法に関して解決策を見つけなければならない」
プレミアリーグとヨーロッパリーグを並行して戦っていく上で、ブライトンの今夏の補強は不十分だったと指摘する声が多かった。選手層の薄さに対する懸念は、続出している怪我人と決して無関係ではない。特にエストゥピニャン、ランプティ、ミルナーと離脱者が集中している左サイドバックは深刻な状態に陥っていると言っていい。
縦関係を組む左サイドバックが定まらない状況下で、必然的に三笘への負担も増してくる。後がない相手の激しいプレスを受けた影響もあったが、アヤックス戦では明らかに精彩を欠いていた。それでもチーム事情でフル出場を果たした。後半37分すぎには左タッチライン際の攻防で激しく倒され、しばらく立ち上がれないシーンもあった。
体調不良で日本代表の10月シリーズを辞退するなど、ギリギリの状態で過密日程を戦っている三笘の現状が伝わってくる。体を突き動かしているのは指揮官から寄せられる期待と、契約延長を果たしたなかでより強まった主軸としての自覚だろう。
アヤックスに連勝したヨーロッパリーグでは、通算成績を2勝1分け1敗の勝ち点7に伸ばし、オリンピック・マルセイユに1ポイント差のグループBの2位に浮上。残り2試合で決勝トーナメント進出を目指せる状況を手繰り寄せた。
一方で7位と踏ん張っているプレミアリーグでは、直近の5試合で3分け2敗と白星から遠ざかっている。最下位のシェフィールド・ユナイテッドをホームのアメックス・スタジアムに迎える12日の第12節へ。デ・ゼルビ監督は総力戦を誓っている。
「ファン・サポーターとともに、ホームで勝利を手にしたい。われわれは非常に疲れているので、ファン・サポーターの助けが必要になってくる」
言うまでもなく、日曜日の一戦で左ウイングは三笘の一択になる。W杯アジア2次予選に臨む日本代表に合流する前の最後の一戦へ。ブライトンを支える鉄人は、疲労困憊の体を奮い立たせプレミアリーグで6試合ぶりとなる勝利を目指す。