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「F2000トロフィー」で女性初の総合優勝を果たした"Juju"こと野田樹潤(写真:REX/アフロ)
「F2000トロフィー」で女性初の総合優勝を果たした"Juju"こと野田樹潤(写真:REX/アフロ)

「驚くほど速い!」F2000Tで総合優勝した“女子高生レーサー”野田樹潤は夢のF1ドライバーになれるのか…カギを握る2024年の戦い舞台

 F2000トロフィーがF3格式であるか否かにかかわらず、Jujuが年間王者に輝いたことに変わりはない。また、Jujuは今年、スペインF3を前身に持つユーロフォーミュラ・オープンにも参戦し、フランス大会で女性ドライバーとして大会史上初優勝も飾っている。このシリーズにはF1ドライバーの角田裕毅も参戦していたことがあり、決してレベルは低くないことを考えると、Jujuに期待を寄せる声は少なくない。
 重要となるのは、2024年だろう。すでにユーロフォーミュラ・オープンで優勝しているJujuには、FIA F4選手権へ出場する資格はないからだ。同じシリーズにもう1年挑戦する可能性がないこともないが、もしF1を目指してステップアップを望むのであれば、来年18歳になるJujuが下位カテゴリーで必要以上に時間を費やすことは得策ではない。
 そうなると、残る選択肢は、いよいよ正式なF3格式であるFIA F3選手権へ挑戦するしかない。ただし、FIA F3選手権への挑戦はこれまで以上に資金的な負担が大きく、自動車メーカーやF1チームの育成システムに入らなければ、参加するのは難しい。
 そこで、注目されているのが、Wシリーズが破綻した後に設立された女性限定の下位カテゴリーとなる「F1アカデミー」に参戦するという道だ。もちろん、Wシリーズで苦い思い出があるJujuにとっては、簡単な選択ではないだろうが、F1アカデミーはWシリーズとは異なり、F1を運営する組織の直属のシリーズであり、ここで優秀な成績を残せれば、F1アカデミーのサポートによってFIA F3選手権への道が開ける可能性がある。
 Jujuが速いことは、これまでのレースで証明されている。しかし、ここから上へは速さだけではステップアップできないのがモータースポーツである。それは、現在のF1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンですら、企業やF1チームからのサポートを受けてきたことでもわかる。ダイヤモンドの原石を採掘し、輝かせることができるかどうか。2024年のJujuがどうなるのかは、日本のモータースポーツの未来を左右する大きな問題だと言ってもいいだろう。
(文責・尾張正博/モータージャーナリスト)

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