どこかの球団と真逆?!今永昇太の決断の裏にメジャー挑戦をプッシュし続けた横浜DeNAの球団理念
帰国後に開幕したNPBでは、レッズに所属した2020シーズンにサイ・ヤング賞に輝いた、トレバー・バウアー(32)とともにローテーションを担った。10勝をマークしたレジェンド右腕から、グラウンドの内外で数々の薫陶を受けたと今永は感謝する。
「トッププレイヤーが身近で練習していたなかでいろいろなアドバイスもいただいたし、マインドやスキルも間近で見られた。僕自身、キャリアのなかでものすごくいい1年間をバウアーとともに過ごさせてもらったと思っています」
今永のなかでも機が熟しつつあったのだろう。
メジャー経験のあるオリックスの平野佳寿(39)、千葉ロッテの澤村拓一(35)にチームの垣根を越えて話を聞いた。佐野恵太(28)や宮崎敏郎(34)、さらには駒澤大時代からバッテリーを組む戸柱恭孝(33)らチームメイトにも相談に乗ってもらった。
異口同音に返ってきた言葉にも背中を押されたと今永は感謝する。
「誰しもがそこに立てるわけではないなかで、少しでも権利があるのだとしたら、挑戦しないよりは挑戦した後に何か見えるものがある。そういった言葉をいただきました」
MLB挑戦を見すえて米オクタゴン社と代理人契約を結んでいた今永は、シーズン終了後の10月31日に渡米。現地で自主トレを積みながら、今後へ向けたミーティングを重ねた。そして、帰国後の10日に設けられた横浜DeNAとの話し合いの場で、萩原チーム統括本部長からポスティングシステムを利用してのMLB挑戦が認められた。
横浜DeNAは2019シーズンのオフにも、主砲・筒香嘉智(31)のポスティング移籍を容認している。2016シーズンに本塁打、打点の二冠を獲得した筒香の実績だけでなく、メジャーに挑戦できる実力も兼ね備えたと認めたがゆえの特別措置。筒香と同じ図式が8年間で通算64勝をあげ、今シーズンはセ・リーグの奪三振王に輝いた今永にも適用された。
さらに当時の編成トップだった三原氏は、筒香がレイズへポスティング移籍した際に「再び日本でプレーするときには、ベイスターズへ戻ってきてほしい」と伝えている。渡米3年目の今シーズンはメジャーに昇格できず、8月下旬にマイナー契約で入団したジャイアンツからFAになったいまも、筒香への門戸は開かれている。
今永によれば筒香のときと同じく、萩原チーム統括本部長から「いつかはチームに帰ってきてほしい」と伝えられたという。
「ポスティングを容認していただいた席でも、その言葉をかけていただきました。自分としては、まずはそういう状況になったときに一番に声をかけていただけるような、実績とキャリアをいつまでも積んでいる選手でありたいと思っています」
MLBへのポスティング申請は、すでに1日に始まっている。今後はオクタゴン社の代理人と連絡を取り合い、FAになった大谷、そしてポスティングシステムでメジャー移籍を目指すオリックスの山本由伸(25)らの動向もにらみながら、申請期限の12月15日までの間で「いつが最適なのかを決めていきたい」と今永は語った。