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岡田監督が来春の1軍キャンプ抜擢を明言したルーキー左腕の門別(左)と、打球を飛ばす力を買う育成ドラフト1位の野口(右)
岡田監督が来春の1軍キャンプ抜擢を明言したルーキー左腕の門別(左)と、打球を飛ばす力を買う育成ドラフト1位の野口(右)

阪神の岡田監督が秋に仕込むV2への布石…目を付けた投打の“ロマン戦力”は?

 岡田監督は守備練習までを見届けるとブルペンへ移動した。キャッチャーの後ろのベンチに座り目を光らせる。それは若手にとって相当のプレッシャーとなる。
「初日はみんな力んでよくなかった」(岡田監督)のも仕方がないだろう。
 このクールまではストレート限定で投げ込ませているせいもあって、ミットの快音がブルペンに響き渡り、岡田監督も、「思ったよりファームだけの投手でもええボールを投げてるよ。1軍レベルまではいかんかもわからんけど、徐々にレベルアップしたらええことやから」と全体的なレベルの高さを認めた。
 その中でアピールに成功したのが、門別啓人(19)、茨木秀俊(19)のドラフト2位、4位のルーキーコンビ。
「(門別は)ストレートに力があるよなあ。茨木も良かった」
 東海大付属札幌高出身の門別は、すでに1軍でデビュー済み。初先発となった9月30日の広島戦では、5回を7安打無四球で無失点に抑えた。その試合でコンビを組ませたのは、坂本誠志郎(30)ではなく、ファームで受けていた長坂拳弥(29)。配球などに問題があったが、岡田監督はあえて何も言わなかったという。だから伸びしろがまだまだあると感じている。
 帝京長岡高出身の茨木は、投球フォームに反して腕の振りだけが異様に速く、打者はタイミングがとり辛い。ファームで12試合に投げて3勝3敗、防御率6.57の成績。38回と3分の1を投げて30奪三振と奪三振率が高いのも納得だ。
 岡田監督は、門別の来年の沖縄1軍キャンプ抜擢を早くも明言した。
「(沖縄キャンプに)呼ぶようになるやろな。今1軍におる他のピッチャーへの刺激にもなるからな」
 現在の先発の序列は、村上頌樹(25)、伊藤将司(27)、大竹耕太郎(28)、才木浩人(25)の4人に西勇輝(33)、青柳晃洋(29)が5、6番手。その次の予備軍として西純矢(22)、ビーズリー(27)、富田蓮(22)らがいるが、そこに門別、茨木に加え、青学のドラフト1位の下村海翔(21)らが先発候補として加わってくれば、激しい競争が生まれ、ただでさえ他チームがうらやむ投手層がさらに厚くなる。キャンプ、オープン戦で結果を残して新戦力が勝ち抜けてくれれば儲けもの。昨年の村上もキャンプの段階では、その位置にいた投手だった。
 「しかし今年の安芸は冷えるよな?」
 岡田監督は、そう言って背中を丸めてポケットに手を入れた。
 V2へ向けての収穫の秋…確かな仕込みが始まっている。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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