練習風景に違和感…なぜ森保監督は“格下”ミャンマー戦に疲労困憊の三笘薫や冨安健洋らの欧州組を招集したのか?
ミャンマー代表とのW杯アジア2次予選初戦(16日、パナソニックスタジアム吹田)を目前に控えた森保ジャパンが、異例の調整を強いられている。14日に大阪市内で合宿2日目が行われたが、フルメニューを消化したフィールドプレイヤーはわずか9人。この日に帰国したMF三笘薫(26、ブライトン)はホテルで静養に努め、DF冨安健洋(25、アーセナル)も別メニューで調整した。ヨーロッパ組の過密日程を承知の上で、ベストメンバーの招集にこだわった森保一監督(55)のマネジメント力があらためて問われる。
「厳しい状況でタフに戦い続けたなかで成長できている部分もある」
ピッチから伝わってきたのは違和感だった。
ミャンマー戦を2日後に控えた合宿2日目。いるはずの選手が、どこにも見当たらない。練習が始まった直後。この日の午前中に帰国し、大阪入りしていた三笘がホテルでの静養に切り替えたと、日本サッカー協会(JFA)の広報担当者が説明した。
怪我ではなく、蓄積していた疲労を考慮されて練習参加が見送られた。合宿初日の13日に帰国し、練習に合流していた冨安も同じく疲労で別メニュー調整に終始。この日から合流したキャプテンのMF遠藤航(30、リバプール)やMF久保建英(22、レアル・ソシエダ)ら9人の海外組も、軽めのウォーキングだけにとどめた。
フルメニューを消化したフィールドプレイヤーはわずか9人だけ。前日までに帰国・合流していたMF伊東純也(30、スタッド・ランス)やFW浅野拓磨(29、ボーフム)ら6人のヨーロッパ組と、DF毎熊晟矢(26、セレッソ大阪)ら3人の国内組。ゴールキーパーは3人とも勢ぞろいしているが、戦術的なメニューを組めなかったのは言うまでもない。
もっとも、森保監督は異例の調整を強いられる状況を見越していた。
アメリカ、カナダ、メキシコで共同開催される2026年の次回W杯出場をかけた、公式戦のアジア予選が2試合ずつ組まれている11月シリーズ。国境を越えて移動日をはさむ関係で、アジアサッカー連盟(AFC)は初戦を16日の木曜日に、第2戦を国際Aマッチデー期間の最終日となる21日の火曜日に組むスケジュールで統一した。
日本国内で国際親善試合を行う場合、初戦が金曜日に行われる日程が多かった。例えば10月シリーズは13日の金曜日にカナダ代表との初戦、17日の火曜日にはチュニジア代表との第2戦にともに勝利している。週末の各国リーグ戦を戦い、順次帰国してくるヨーロッパ組に万全の状態を整えさせるための日程だった。
しかし、一日早まるだけで大きな違いが生じる。
「週末のリーグ戦を戦ったヨーロッパ組のなかで、最後に合流する選手が火曜日もしくは水曜日になる場合もある。これでは練習する時間もほとんどない」
こう語っていた森保監督は、ミャンマー戦と21日に第三国のサウジアラビア・ジッダで行われるシリア戦へ、異なるチームを編成して臨む構想を描いた。ミャンマー戦は時差ぼけや移動のない国内組を中心に、シリア戦には移動距離が短いヨーロッパ組のベスト布陣で臨む形などが考えられたが、最終的には見送られている。
ベストメンバーの招集にこだわった理由を指揮官はこう語る。
「これまでを振り返っても、厳しい状況でタフに戦い続けたなかで成長できている部分もある。どんな試合にも必ず成果と課題があるので、チームとして戦いながら経験を共有して、チームをさらに積み上げていきたい。そのなかで状態を見た上で休ませるなど、怪我のリスクを最大限に考慮しながら選手たちを起用していきたい」