「笑っていられない」森保ジャパンがW杯予選初戦でミャンマーに5-0圧勝もシリア戦を前に喜んでいられない理由とは?
所属クラブで残した結果が、代表での好パフォーマンスの源泉になる。その逆も然りと考えれば、ゴールという数字を残したミャンマー戦の前半は理想的な展開だった。引いた相手を攻める上での鉄則のひとつ、ミドルシュートを完璧に決めてみせたからだ。
ラツィオで最後にゴールを決めたのが、9月2日の王者ナポリとのセリエA第3節。グループリーグの4試合を終えたチャンピオンズリーグでも無得点が続いていただけに、ペナルティーエリアの外から豪快に突き刺した一撃には鎌田も満足げだった。
「8番(攻撃的MF)で出ようが6番(ボランチ)で出ようが、自分は割と点を取ってきた選手なので、やっぱり点を取れないと若干物足りない感じになる。なので、相手がどこであれ、今日のような試合展開であのように足を振り切れてゴールを取れたのはよかった。しっかりとプレーしていけば点を取れる、というのも示せたと思う」
ミャンマー戦の鎌田は南野拓実(28、モナコ)とインサイドハーフを形成し、右から堂安、上田、相馬勇紀(26、カーザ・ピア)の3トップを後方から支援。相手ボールになると一列下がって田中碧(25、フォルトゥナ・デュッセルドルフ)とダブルボランチを組み、システムを「4-3-3」から「4-4-2」にスイッチするキーマンも務めた。
前半の日本のボール支配率が83.9%に達し、被シュート数にいたっては90分間で0本だったミャンマー戦をきっかけに鎌田が復調していく。そうなればグループBのなかで最も骨のある相手と見られる21日のシリアとの第2戦、さらに来年1月のアジアカップでの王座奪回へ、中盤の選手起用で選択肢が増す意味でも森保ジャパンにとって朗報だった。
いまは腰の状態が長期離脱に至るような、深刻な怪我ではないことを祈るばかりだが、一方でサウジアラビアへ向かった森保ジャパンも喜べない状況に直面している。
シリア戦が目前に迫るなかで、日本国内でのテレビの生中継のメドすら立っていないからだ。ミャンマー戦後に取材に応じたJFAの田嶋幸三会長(65)も「まったく決まっていない」と、ネット配信も含めて依然として難航していると認めた。
アジア2次予選はホームのサッカー協会がそれぞれ放映権を持ち、ミャンマー戦は地上波でテレビ朝日が、インターネットではABEMAがそれぞれ生中継した。しかし、次戦はシリアサッカー協会から放映権を購入した代理店と日本のテレビ局との間の交渉が平行線をたどったまま、妥協点すら見つけられずにいま現在に至っているという。