「笑っていられない」森保ジャパンがW杯予選初戦でミャンマーに5-0圧勝もシリア戦を前に喜んでいられない理由とは?
理由は代理店から提示された高額な放映権料にある。田嶋会長が言う。
「われわれとしては放送してもらいたいし、多くの国民のみなさんに代表戦を見てもらいたい、という気持ちは間違いなくあります。しかし、チキンゲームのような形でお金を吊り上げるような交渉に乗ってほしいとは思っていません。放映権料が高騰していないのに、そこ(日本戦)だけ高騰させようと、儲けようとするからこういう事態になる。放映権料の適切な相場があるはずですし、ましてや今度は夜中の試合ですよ」
内戦下のシリアでは、当初からホーム戦の開催は困難だとみられていた。実際に第三国であるサウジアラビアのジッダで代替開催されるが、最終的に決まったのが約1カ月前。キックオフ時間も当初の午後8時(日本時間22日午前2時)から、先週になって暑さの残る午後5時45分(同21日午後11時45分)に急きょ変更された。
日本ならば提示額に従うだろうと、足もとを見ている代理店側の姿勢に加えて、試合開催を巡る一連の状況も交渉を難航させていると田嶋会長は続ける。
「この段階でベニュー(会場)もキックオフ時間も変わるなかで、なかなか契約してくれるところがないだろう、とも思っています。それでも、とにかく最後まであきらめずに、交渉は粘り強くやっていかなきゃいけないと思っています」
ミャンマー戦ではMF久保建英(22、レアル・ソシエダ)やMF伊東純也(30、スタッド・ランス)、キャプテンのMF遠藤航(30、リバプール)を最後まで温存。14日には別メニュー調整だったDF冨安健洋(25、アーセナル)もベンチ外にして休養を与えた。
MF三笘薫(26、ブライトン)ら5人が離脱したなかで手にした圧勝発進に鎌田の怪我離脱危機と、テレビを介して戦いぶりが見られそうにない状況が大きな影を落とす。そして、同じくサウジアラビア・ジッダで16日(日本時間17日)に、ホーム扱いの北朝鮮戦で1-0と白星発進したシリアは、移動や時差調整のない万全の状態で日本を待ち構える。
(文責・藤江直人/スポーツライター)