南米強豪アルゼンチンを5-2で撃破したU-22代表は本当に強いのか…来年4月にパリ五輪のアジア最終予選
U-22アルゼンチン代表を率いる、元同国代表MFのハビエル・マスチェラーノ監督(39)は「同点とされてからは、まったく別の試合になった」と嘆いた。
「われわれは組織力を失い、試合をコントロールできなくなり、ミスから何度もボールを失った。サッカーというスポーツはミスをするたびに自信を失い、逆に相手チームに自信をつけさせてしまう。それが同点とされてからの展開だった」
日本にはベンチから指示されるまでもなく、試合の流れを変えられる選手たちがいる。日本の大岩剛監督(51)も「いろいろなことがあった90分間だった」とこう続けた。
「前線からの守備はわれわれの生命線であり、前からいく積極性に加えて状況を判断しながらポジションを取ってほしいと選手たちには常に要求してきた。われわれのスタイルを出して戦えたのは、ひとつの収穫だと思っています」
鈴木の逆転ゴールは、まさに前線からの守備が起点になった。
敵陣の中央でボールをもった相手をMF山田楓喜(22、京都サンガF.C.)とFW植中朝日(22、横浜F・マリノス)が激しくチェック。こぼれたボールを鈴木が左の村松へ展開し、ファーサイドを狙ったクロスを半田が折り返したところへ鈴木が詰めた。
4点目のきかっけも敵陣右サイドでのボール奪取だった。直後に半田からややマイナス気味のパスを受けた村松が、ゴール正面から鮮やかなミドルシュートをゴール左隅に突き刺した。リズムを取り戻した仲間たちが仕掛けた波状攻撃に、藤田は声を弾ませた。
「ユイト(鈴木)もマツ(松村)も含めて、ああいう場面で個の力で戦える力を持っている。そうした個的優位は自分たちの強みになってくるし、世界に負けないところでもあると思う。これからもそういったものをどんどん出しながら、試合を進めていきたい」
パリ五輪に照準をすえて、大岩監督のもとで昨年3月に立ち上げられたチームは、公式戦と国際親善試合を合わせた全21試合をすべて海外で実施してきた。タフな試合環境で心身を磨くなかで、鈴木や藤田らが続々とヨーロッパへ新天地を求めた。
アルゼンチン戦の先発にも、2人に加えてMF佐藤恵允(22、ブレーメン)とFW小田裕太郎(22、ハート)が名を連ね、ベンチにもMF山本理仁(21、シントトロイデン)とMF福井太智(19、バイエルン・ミュンヘン)、福田がスタンバイ。コンディション不良で離脱したものの、当初はDF内野貴史(22、デュッセルドルフ)も招集されていた。