なぜ森保Jは“中継無き”サウジ開催のW杯二次予選でシリアに5-0圧勝できたのか…先制弾の久保建英はトリックプレーも披露
2026年のW杯北中米大会出場をかけたアジア2次予選の第2節が21日に一斉に行われ、日本代表はサウジアラビア・ジッダでシリア代表に5-0で圧勝して、歴代最多タイとなる国際Aマッチ8連勝をマークした。前半32分にMF久保建英(22、レアル・ソシエダ)の強烈なミドル弾で先制した日本は同37、40分にFW上田綺世(25、フェイエノールト)が連続ゴール。後半にも2ゴールを追加し、異例の日本国内向け中継&配信がなかった年内最後の一戦をゴールラッシュで締めくくった。
久保と伊東が連携
膠着状態に陥りかけた試合を、久保の左足が動かした。
日本が主導権を握り続けながらも、シリアのゴールをこじ開けられないまま迎えた前半32分だった。中央に絞っていた左サイドバックの伊藤洋輝(24、シュツットガルト)から右サイドバックの菅原由勢(23、AZ)、右タッチライン際のMF伊東純也(30、スタッド・ランス)とシリアが作るブロックの外側をパスが流れるようにつながる。
さらに伊東が久保へマイナス方向のパスを選択する。右サイドから中央へ切れ込む得意の形からボールを受けた久保が、次の瞬間、利き足の左足を迷わずに振り抜いた。ペナルティーエリアの外側から放たれた低く、鋭い弾道がゴール右隅を鮮やかに射抜いた。
6月のエルサルバドル代表との国際親善試合以来となる代表通算3ゴール目は、有言実行の一撃でもあった。2026年のW杯北中米大会出場をかけたアジア2次予選へ。ミャンマー代表との初戦を前にして、久保はこんなビジョンを描いていた。
「僕個人だけでなく、たとえばボランチや後ろの最終ラインの選手とかでも、早い時間帯から積極的にロングシュートやミドルシュートを打っていった方がいい」
アジアでの戦いでは日本の攻撃力が警戒され、ゴール前にブロックを形成されるケースが多い。ミャンマー戦は他の主力組とともに出番なしに終わったものの、舞台をサウジアラビアに移したシリア戦でも引いて守られる状況は変わらなかった。
だからこそ、守りを固められた際のセオリーのひとつでもある、ミドルやロングシュートが有効になる。久保はさらにこうも説明していた。
「たとえば前半が0対0で折り返して、じゃあ後半からロングシュート打ちます、ではちょっとありきたりになる。早いうちからどんどんシュートを打つとか、とりあえずプレーを終わらせる。試合をいったん断ち切るのがすごく大事だし、そうなれば万が一の相手のカウンターもなくなる。変にこねて、こねてというよりは、スパ、スパとプレーを切ってシュートで終わる形は全体の統一意識として出していきたいですね」
リーダーの貫禄すら漂わせる久保の一撃で日本は波に乗った。
5分後の前半37分。中央を守田英正(28、スポルティング)とキャプテンの遠藤航(30、リバプール)のボランチコンビで持ち運ぶ。左サイドハーフで先発した浅野拓磨(29、ボーフム)をへて、その外側をオーバーラップしてきた伊藤へパスがわたる。