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横浜DeNAのドラフト3位の武田陸玖(山形中央高)は二刀流に挑む
横浜DeNAのドラフト3位の武田陸玖(山形中央高)は二刀流に挑む

なぜ横浜DeNAドラフト3位の武田陸玖は異例の「ハマの二刀流」を宣言したのか…大谷翔平の大成功例はあるが根尾昂は途中断念

 生半可な挑戦ではないと、武田自身が誰よりも理解している。
 エンゼルスでプレーした今シーズンのMLBで日本人初のホームラン王を獲得し、2年連続で2桁勝利をあげた大谷翔平(29)は別格。NPBの現状を見ればアマチュア時代に投打の二刀流で大活躍し、脚光を浴びた選手たちが苦戦を強いられている。
 大阪桐蔭高から2018年のドラフト1位で中日に入団した根尾昂(23)は、プロ入りを境にショートでの勝負を決意。しかし、132試合で打率.171、1本塁打、20打点の成績で迎えた2022年6月21日付でNPBから投手への登録変更が公示された。
 開幕から投手として臨んだ今シーズンは一軍で2試合に登板し、12回3分の2を投げて自責点1、防御率0.71の成績を残したが、いまだに勝敗はついていない。1年半の通算成績は27試合登板、41回3分の2を投げて2.59の防御率を残している。
 日体大から昨年のドラフト1位で日本ハム入りした矢澤宏太(23)は、野手として37試合に出場して打率.177、1本塁打、4打点、投手としては2試合で計2イニングを投げて被安打1、無失点でルーキーイヤーを終えた。大学までの投手メインから外野手メインに変わったなかで、コンディション調整の面で数多くの課題が見つかったと総括している。
 投手と野手で調整していく二刀流の練習量は、単純計算で他の選手に倍になる。ハードな練習にしっかりと耐え、怪我をしない強靱な体も作っていかなければいけない。他の選手とは違った道を歩む覚悟と決意を込めるように、武田はこんな言葉を口にした。
「死ぬほど努力しないとできない、と思っています」
 武田を含めた新入団選手たちへ、三浦監督はこんなエールを送った。
「プロの世界に入れば、思い通りにいかないことがいっぱい出てくる。そのときに、先ほどの色紙にどのような気持ちを込めて書いたのかを忘れない、というところで乗り越えていってくれればいいと思っています」
 武田は自らの体に宿る力を信じて「自信」と書き込み、球団側も無限の可能性を秘めた武田がもっとも輝く場所を見つけてほしいという思いを込めて二刀流を容認した。年明けとともに始まる自主トレ、そしてキャンプから18歳の挑戦が本格化する。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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