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4階級制覇王者の井岡一翔が大晦日に8位のぺレスと初防衛戦を行う。これが12度目の大晦日リング。エストラーダ戦の実現のために負けられない試合となる
4階級制覇王者の井岡一翔が大晦日に8位のぺレスと初防衛戦を行う。これが12度目の大晦日リング。エストラーダ戦の実現のために負けられない試合となる

なぜ井岡一翔はエストラーダとの統一戦が実現せずとも大晦日の世界戦を決断したのか…危険な“落とし穴”が待っている状況「リスクを背負っても勇気を届けたい」

 挑戦者のペレスはデビュー8年目で20勝(18KO)3敗の戦績を持つ右構えのファイター。2020年2月にはWBA世界フライ級王者のアルテム・ダラキアン(36、ウクライナ)に挑戦した経験を持つ。WBA世界バンタム級王者、井上拓真(27、大橋)のケガで興行が流れた11月15日に同級1位のユーリ阿久井政悟(28、倉敷守安)の挑戦を受ける予定だったウクライナの試合巧者にうまくさばかれ、見せ場がないまま判定負けを喫したが、超好戦的に攻めて右のパンチをぶんぶん振り回した。ディフェンスも固いが、全体的なスキルのレベルは高くない。パンチが大振りでアクションが見えるので井岡のテクニックをもってすれば封じ込むことは難しくないだろう。しかし、ペレスはダラキアン戦から3年のブランクを経て今年2月に1回KO勝利で復活すると、その後、2連勝。9月にはベネズエラのスーパーフライ級王座を4回KO勝利で獲得している。
「3年前の世界戦の時は、まだ経験不足だった。あれから色々と修正してずいぶんと良くなった。グレートなチャンスをいただいた。スペクタクルな試合をしたい。王者の井岡をリスペクトしているがベルトはベネズエラに持って帰る」
 オンラインで会見に出席したペレスは、そう息巻いた。
 今年の3連勝は、格下との試合が多く、その言葉をそのまま受け取るわけにはいかないが、KO率は約78%で、もし一発を浴びたら…の怖さはある。
 井岡は「まだペレスの映像をかなり見たわけでなく印象は薄い。戦績が良くて世界戦の経験があり、油断できない選手、キャリアあるいい選手」との印象を語った上で、この初防衛戦のテーマをこう掲げた。
「第一にチャンピオンとして勝たないといけない。圧倒的な差、レベルの違いを見せて勝つことだと思うし、自分もそれをパフォーマンスとして見せないといけないと思っている。その意識でトレーニングをしている。チャンピオンとしての強さを見せないといけない」
 そしてエストラーダ戦を実現するための負けられない戦いである。
 志成ジムの二宮マネージャーによるとエストラーダ陣営との交渉は継続しており、来年5月に日本かアメリカで開催する方向で進めているという。
 だが、エストラーダ戦が、流れた空虚感を考えると、代替選手とも言えるペレス戦にモチベーションを最高潮に保てるのかというと難しいだろう。加えてペレスは高いKO率を誇るパンチャー。こういう試合には危険な“落とし穴”が待っている。“シンデレラチャンプ”が生まれるのは、こういうタイミングなのだ。

 

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