4階級制覇王者の井岡一翔が大晦日に8位のぺレスと初防衛戦を行う。これが12度目の大晦日リング。エストラーダ戦の実現のために負けられない試合となる
なぜ井岡一翔はエストラーダとの統一戦が実現せずとも大晦日の世界戦を決断したのか…危険な“落とし穴”が待っている状況「リスクを背負っても勇気を届けたい」
井岡も、その危険性を十分に理解していた。
「どの試合にもリスクはつきもの。勝負には勝ち負けがあって、怖さがあることはもちろんわかっている。そういうのがある中で戦っていかないといけない。危険は伴っているが、戦って自分がその先の実現したい試合があるので、リスクを背負ってでも挑戦することで、新たなチャンスが生まれてくると信じている。切り拓く部分、挑戦する部分を見てもらってメッセージになればいい。勇気を出してこの試合に臨む。しびれる試合を見せたい」
タッグを組む佐々木修平トレーナーも「過去にもモチベーションの難しい試合はあった。だが、井岡はプロ中のプロ。どんな状況でもやることは何ひとつ変わらない。そのリスクを理解した上で対応できる」と言う。
決定はギリギリになったが、すでに8月からベーシックなトレーニングを再開している。エストラーダ戦を念頭に置き「年内に試合をする」というイメージで、3週間前からスパーリングもスタート。ただイスマエル・サラス・トレーナーのジムで行う恒例の米国ラスベガス合宿は、なかなか試合が確定しなかったため、今回は敢行せずに国内調整で大晦日を迎えることになった。
行き帰りの移動の時間のロスなどを考慮すると「国内調整がベスト」と判断した。スパー映像をサラストレーナーに送り、オンラインでミーティングを開き、ペレス戦の戦略などを固める方向。コロナ禍での防衛戦では、このパターンで調整を行っており不安はない。ボクサー人生のゴールに近づいている井岡は、大晦日にどんなボクシングを見せて、どんなメッセージを届けてくれるだろうか。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)