プロ野球トライアウト参加の“戦力外の男たち”を巡って水面下で起きている新潟、ハヤテ223、台湾プロの三つ巴の“意外”な争奪戦
プロ野球の12球団合同トライアウトから12日が経過した。参加したメンバーからNPBと再契約の可能性が出ているのはロッテのテストを受けていた前オリックスの吉田凌投手(26)一人だけ。例年であれば、ここで“戦力外の男たち”は人生の重大な決断を下さねばならないのだが、今年は水面下で異常な現象が起きている。来季からNPBの2軍に新規参入するオイシックス新潟アルビレックスBC、ハヤテ223の2球団に加え、台湾のプロ球団の三つ巴の争奪戦が勃発しているのだ。15人前後の選手が、再チャレンジの機会を得ると予想されているが、果たして来季は誰がどこのユニホームを着ているのだろうか。
金額は小さいがマネーゲームも勃発
“戦力外の男たち”にとって意外な現象が起きている。15日に鎌ケ谷スタジアムで開催された12球団合同トライアウトに参加した59人のうちNPB復帰の可能性が出ているのは、ロッテのテストを受験した前オリックスの吉田一人だけ。だが、一方で、そこで存在感を示した選手には、来季からNPBのイースタンリーグに新規参入するオイシックス新潟アルビレックス、同じくウェスタンリーグに加わるハヤテ223、そして台湾プロ球団からのオファーが殺到して争奪戦が勃発しているのだ。
球界関係者が明かす。
「トライアウトから10日以上が経過してNPBのチームから接触がなければ、ほぼ無理でしょう。例年なら、ここから、もうあきらめて引退する選手や、独立リーグに誘われたり、海外チームに売り込む選手に分かれるのですが、今年は異常な現象が起きています。来季からNPBの2軍に新規参入する新潟アルビレックス、ハヤテ223の2チームは、10人前後の元NPBメンバーを獲得しようとトライアウトで目についた選手に声をかけて争奪戦が起きているんですよ」
すでにハヤテ223が前ロッテの福田秀平に、新潟アルビレックスも前阪神の高山俊、渡邉雄大に獲得オファーをかけていることが明らかになっているが、他にも両球団から同時に声をかけられている選手が複数いて争奪戦が起きているという。
新潟に本拠地を構えるオイシックス新潟アルビレックスはイースタン、静岡をホームとするハヤテ223はウエスタンに新規参入予定で、それぞれ環境も違い、オファー条件も違うため、選手が選択に迷う状況になっている。すでに内諾を得た選手もいるそうだが、まだ返答のもらえていない選手が相当数にのぼるという。
1軍を持つNPBの所属球団は、1軍が1600万円、2軍が440万円、育成が240万円という最低保証年俸が定められているが、2軍だけに限定されるこの2球団には、その最低保証制度は適用されない。それでも2球団は、元NPB選手に関しては、2軍の最低保証年俸をベースにオファーを行っているという。BCリーグに所属していた新潟には、ベースになる選手がいるが、ハヤテ223は、まったくの白紙からのスタートで、より選手集めは切迫している。