なぜ巨人は横浜DeNA石田健大の獲得を宣言しないのか?
ここまで巨人は、ソフトバンクとのトレードでサブマリンの高橋礼、泉圭輔を獲得、オリックスからも金銭トレードで近藤大亮を獲得するなど、中継ぎ陣はしっかりと補強した。日ハムとの競合の末、阿部監督が引き当てたドラフト1位の155キロ右腕の西舘勇陽(中央大)にはセットアッパーとしての期待が持てる。
高橋は先発もできるが、計算の立つ先発陣の補強はできていない。12勝5敗の戸郷翔征に加え、10勝5敗の山崎伊織が急成長、ここに菅野智之、赤星優志、グリフィン、メンデスと6人は揃うが、ペナントレースを戦うには、阪神同様に7、8人は用意しておく必要があり、石田がここに加われば先発の厚みが増す。
ただ一方で橋上氏は巨人が石田の獲得に躊躇する可能性を指摘した。
「横浜DeNAからのFA移籍組は過去に誰もうまくいっていない。投手で言えば、門倉、山口は1年目に1勝。井納に至っては2年間で1勝。巨人の中で、野球をする環境とプレッシャーが違うから、“横浜DeNAからの移籍組は活躍できない”というレッテルが貼られてしまったのかもしれない。ただ投手、特に左腕は何人いても困らない。阿部新監督の初年度にFA補強は一人もなしというのはいかがなものか」
橋上氏が指摘するように横浜DeNAから巨人に移籍したFA選手の過去成績は芳しくない。2006年オフに横浜から巨人にFA移籍した門倉健は1年目が1勝5敗、防御率5.97、山口俊も2017年の移籍1年目は1勝1敗、防御率6.43に終わり、2020年オフに移籍した井納翔一に至っては、1年目は、わずか5試合の登板で0勝1敗、防御率14.40で、結局、2年間で1勝しかできずに戦力外となった。井納と一緒に移籍した梶谷隆幸も故障に苦しみ、レギュラーポジションを奪えていない。横浜DeNAのFA組にある“トラウマ”が、現段階で巨人が石田獲りへ積極的に動かない理由なのか。
石田は、今季巨人戦には5試合に先発して2勝2敗、防御率3.58の成績。ヤクルトが石田の獲得に成功して巨人戦で目の覚めるようなピッチングでもされると、とんだ赤っ恥をかくことになる。
(文責・RONSPO編集部)